研究課題/領域番号 |
23380062
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
作田 庄平 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (80192087)
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キーワード | アロサミジンン / デメチルアロサミジン / キチナーゼ / キチナーゼ様タンパク質 / 喘息 / 抗喘息薬 |
研究概要 |
キチナーゼ阻害物質アロサミジン(allo)は喘息モデルマウスに対して抗喘息作用を示す。研究代表者はこれまでに、デメチルアロサミジン(dmallo)はalloよりすぐれた抗喘息作用を示すが、両者の活性の違いは哺乳類酸性キチナーゼAMCaseに対する作用に起因するものではないこと、また喘息モデルマウスの肺胞洗浄液中でallo類と特異的に結合する主タンパク質はキチナーゼ様タンパク質Ym1であることを明らかにした。AMCase、Ym1および他のキチナーゼ様タンパク質BRP39が喘息の発症と関与するとの報告はあるが、それらの機能は不明である。本研究では、dmalloとalloの作用と両者の活性の違いを手がかりに、キチナーゼおよびキチナーゼ様タンパク質の機能の分子機構、allo類の抗喘息作用機構を明らかにすることを目的とする。本年度はまず、Ym1、AMCase、BRP39の組換え体タンパク質の調製を行いallo類との相互作用解析を試みることにした。大腸菌を用いた発現系により、N末端にGSTタグを付加した融合タンパク質GST-rYm1,GST-rAMCaseおよびGST-rBRP39を調製した。得られた融合タンパク質からGST切断を試みたが回収率が悪く、融合タンパク質を用いて結合実験を行うことにした。GST-rAMCaseはキチナーゼ活性を有し、その活性はalloにより阻害された。アロサミジンフォトアフィニティプローブを用いて融合タンパク質とallo類との結合を調べたところ、GSTそのものがプローブと結合してしまい、GST融合タンパク質では実験が行えないことが判明した。そこで、MBP融合タンパク質の調製を行いMBP-rYm1を調製した。今後、生体分子間相互作用解析装置BIAcoreおよびOctet、等温滴定カロリメトリー(ITC)を用いてallo類との相互作用を調べる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アロサミジン類との相互作用解析の鍵となる組換え体タンパク質の調製が順調に進んでおり、今後の相互作用解析への準備ができている。
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今後の研究の推進方策 |
キチナーゼおよびキチナーゼ様タンパク質の組換え体タンパク質を用いて、アロサミジン、デメチルアロサミジンとの相互作用を詳細に解析する。また、アロサミジン応答性の培養細胞株を用いてアロサミジンの作用分子の特定と作用機構解析を進める。
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