研究概要 |
キチナーゼ阻害物質アロサミジン(allo)は喘息モデルマウスに対して抗喘息作用を示す。研究代表者はこれまでに、デメチルアロサミジン(dmallo)はalloよりすぐれた抗喘息作用を示すが、両者の活性の違いは哺乳類酸性キチナーゼAMCaseに対する作用に起因するものではないこと、また喘息モデルマウスの肺胞洗浄液中でallo類と特異的に結合する主タンパク質はキチナーゼ様タンパク質Ym1であることを明らかにした。AMCase、Ym1および他のキチナーゼ様タンパク質BRP39が喘息の発症と関与するとの報告はあるが、それらの機能は不明である。本研究では、dmalloとalloの作用と両者の活性の違いを手がかりに、キチナーゼおよびキチナーゼ様タンパク質の機能の分子機構、allo類の抗喘息作用機構を明らかにすることを目的とし、昨年度に引き続きYm1、AMCase、BRP39およびYm2の組換え体タンパク質の調製を行いallo類との相互作用解析を試みることにした。昨年度のGSTタグからMBPタグに変更し、大腸菌を用いた発現系により、N末端にMBPタグを付加した融合タンパク質MBP-rYm1, MBP-rYm2, MBP-rAMCaseおよびMBP-rBRP39を調製を試みた。組換えタンパク質の可溶性画分での発現には成功したが、MBPのアフィニティーカラムで精製後に分解産物と考えられるバンドが存在していた。そこで、発現誘導時間、発現誘導温度、プロテアーゼインヒビターの有無、カラムでの精製時の温度条件を検討し、また、逆相HPLC、陰イオン交換HPLC、ゲルろ過HPLCによる精製を検討した。その結果、分子間相互作用解析装置での分析が可能な純度の4種のタンパク質の組換え体を調製することができた。
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