研究課題/領域番号 |
23380066
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
藤岡 昭三 独立行政法人理化学研究所, 長田抗生物質研究室, 副主任研究員 (60165355)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ブラシノステロイド / 生合成 / 代謝 / シロイヌナズナ / イネ / 生合成調節 / シグナル伝達 / ユビキチンリガーゼ |
研究概要 |
本研究では、ブラシノステロイド(BR)の生合成とその調節機構の解明を目指している。昨年度に引き続き、様々な条件下で、シロイヌナズナの野生型やBR変異体の実生を用いて重水素標識22-hydroxycampesterolやその下流に位置する生合成前駆体の詳細な代謝実験を行い、生体内でのBR生合成の主要な流れを明らかにした。また、シグナル伝達に影響を及ぼす薬剤処理による内生BRレベルの変動について精査した結果、BRのシグナル伝達において負の制御因子として機能しているBIN2の阻害剤が、シロイヌナズナの野生型、BR生合成欠損変異体、BR非感受性変異体のいずれに対しても、阻害剤の処理濃度に依存して顕著な内生BRレベルの減少を誘起することを見出した。さらに、国内外の研究グループと共同研究を展開し、BR関連変異体の解析を進めた。シロイヌナズナのアクティベーションタグラインの中で野生型に比べ大型化する変異体の解析を進めた結果、一つは生合成酵素遺伝子DWF4の過剰発現体であることが判明した。新規シグナル伝達因子をコードすると考えられる変異体の解析を進めたところ、BRのシグナルが恒常的に活性化され、BR生合成酵素遺伝子の発現や内生BRレベルも顕著に減少していることを見出した。BR欠損の表現型を示すイネBR変異体elf1は活性型BRを蓄積しているBR非感受性変異体であり、原因遺伝子ELF1はユビキチンリガーゼをコードしていること、BRとオーキシンのクロストークに関しては、オーキシンはBRの生合成酵素遺伝子の発現に影響を及ぼすだけでなく、BR受容体遺伝子の発現を増加させて感受性を高めていることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Wild typeだけでなくBR変異体も有効に活用することにより、BR生合成の主要な流れを明らかにするとともに、BR変異体の解析を通して、BRの生合成調節や情報伝達の新たな知見を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
BR関連変異体の解析を通して、引き続き、BRの生合成や情報伝達機構の新たな知見を集積することを目指す。
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