研究課題
フコキサンチンの機能性:フコキサンチンの抗肥満作用、特に内臓脂肪組織中でのUCP1誘導活性について検討し、これまで見出されたβ3アドレナリンレセプターとPGC-1の発現亢進の経路に加え、レプチンの発現制御による分子機構についても新たに明らかにした。各種アレンカロテノイドの生理作用:フコキサンチンの他、ネオキサンチン、フコキサンチノール、アマロウシアキサンチンAを天然物から分取した。また、パラセントロンやその構造異性体も調製し、それぞれの機能性を比較した。その結果、脂肪組織(細胞)への過度の脂肪蓄積抑制や高血糖の改善効果は、すべてのアレンカロテノイドで認められるが、その活性はフコキサンチンが最も強いこと、また、その理由として代謝物が脂肪組織へ蓄積しやすい点を明らかにした。一方、各種アレンカロテノイドは、それぞれ独自の機能性を示すことも初めて見出した。例えば、ネオキサンチンには強い血中中性脂肪の抑制作用が、また、パラセントロンには効果的な抗炎症作用を認めた。以上の検討などにより、アレン構造は抗肥満作用や抗糖尿病作用を発揮する上で必須の構造であるが、その活性の強弱には、その他の部位の構造も大きく関わることを明らかにした。各種カロテノイドの内臓脂肪組織などへの蓄積:リコペン、β-カロテン、カプサンチン、ルテインなどの各種カロテノイドとアレンカロテノイドの体内への代謝物蓄積量について比較したところ、アレンカロテノイドが最も内臓脂肪組織に多く蓄積され、ついでカプサンチンの蓄積量の多いことが認められた。各種カロテノイドの抗酸化活性:各種カロテノイドの生体内抗酸化活性について検討したところ、それぞれのカロテノイドが有する活性酸素やラジカル補足能から推測される強弱とはまったく異なり、その生体内抗酸化活性は、主として、ターゲット部位への蓄積量と、生体膜に対する親和性に起因することが示された。
1: 当初の計画以上に進展している
平成24年度には、フコキサンチンの特徴的な生理活性の本質を明らかにした他、アレンカロテノイドの生理作用を、カロテノイドの構造相関との関連で検討できた。また、各種カロテノイドの脂肪組織への蓄積量の特徴についても明らかにできた。さらに、当初の計画では予想できなかった成果として、フコキサンチン以外のアレンカロテノイドの特異的な生理活性や、生体内でのカロテノイドの抗酸化活性の特徴についても解明することができた。
当初の予定通り、最終年度(平成25年度)には、フコキサンチンの示す特異的な生理作用、すなわち、内臓白色脂肪組織の褐色脂肪細胞化と血糖値改善効果について、その分子機構を解明する。この場合の活性と構造相関について、引き続き構造の異なる他のアレンカロテノイドなどとの比較により明らかにする。
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