我々が見いだした乳酸菌株Lactobacillus planturum No.14株によるマウスの肥満抑制作用ならびに脂肪組織炎症およびインスリン抵抗性抑制作用について、メカニズムを以下のように解析した。 I. 腸内細菌がエキソソームの組成および機能におよぼす影響の解析: 無菌マウスおよびコンベンショナルマウスの血清から分離したエキソソーム中のmiRNAをマイクロアレイにより解析した結果、組成に相違が認められたので、腸内細菌が血清エキソソームに影響をおよぼすことが示唆された。このときのエキソソームは腸内細菌に直接曝露される腸上皮細胞により放出される可能性がある。マウス腸粘膜から誘導したクリプトオルガノイドが培地中にエキソソームを放出することが確認できたので、腸内細菌がエキソソームにおよぼす影響の解析にクリプトオルガノイドを用いることが可能となった。 II. No.14株投与マウスの血清エキソソームの組成および機能の解析: No.14株および良く知られているプロバイオティクスであるLactobacillus rhamnosus GG株を経口投与したマウスの血清エキソソームが、マウスマクロファージ株RAW264.7細胞のTNF-αおよびIL-6産生を抑制することを示した。 III. プレバイオティクスの炎症抑制作用をエキソソームが仲介することの証明: フラクトオリゴ糖添加飼料を摂取させたをマウスの血清エキソソームが、マウスマクロファージ株RAW264.7細胞のTNF-αおよびIL-6産生を抑制することを示した。 IV. 脂肪組織炎症に影響するNo.14株の菌体成分の探索: No.14株が産生する菌体外多糖は、マウスマクロファージ株RAW264.7細胞のLPS依存的なTNF-αおよびIL-6産生をむしろ促進することを観察した。
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