研究課題
23年度にはセラミド関連物質(CER)の投与が皮膚細胞での遺伝子発現に及ぼす影響をマウスへの投与実験~DNAマイクロアレイ実験で解析するとともに、マウスから分離した初代皮膚細胞を用いた培養系によってCERが及ぼす影響を検証した。さらに24年度にはコラーゲン経口投与の影響を同様の手法で調べるとともに、マウスの初代培養角化細胞と繊維芽細胞の共培養系を構築し、コラーゲンペプチド(CP)が皮膚細胞での遺伝子発現に及ぼす影響を見た。25年度はCPによる遺伝子変化誘導現象の再現性を検討するとともに、CPが角化細胞層の形成や基質の構成に関わるいくつかの遺伝子の発現を変化させることを確認した。またCPの影響の多くが、角化細胞と繊維芽細胞の共培養系でのみ観察されることを見出し、両細胞の相互作用がCPの皮膚への作用において必須であることを示した。一方、マウス初代培養細胞ではなく、ヒト由来角化細胞株を用いた繊維芽細胞との共培養において、CERやCPが遺伝子発現に及ぼす影響を観察した。その結果、ヒト株化細胞を用いた系でもCERやCPによる遺伝子発現変化が観察でき、例えば角化細胞におけるセラミド合成関連遺伝子の発現や繊維芽細胞における基質タンパク質遺伝子の発現がCER添加で変化するなど、ヒト株化細胞を用いた共培養系も有用な解析手法となることが示された。マウスの皮膚にUVを照射し、皮膚の炎症・傷害を誘導した時に、コラーゲンの経口投与が皮膚細胞の遺伝子発現変化にどのような影響を及ぼすかについても検討を行い、UV照射で発現低下した11遺伝子に対するコラーゲン緩和作用、発現上昇した7遺伝子に対するコラーゲンの緩和作用などを見いだした。変化した遺伝子には低酸素、脂質代謝コレステロール生合成に関わるものなどがあり、コラーゲンの摂取は皮膚損傷の機能回復に貢献していることが推測された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
巻: 77 ページ: 1882-1887
10.1271/bbb.130318