研究課題/領域番号 |
23380074
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
門脇 基二 新潟大学, 自然科学系, 教授 (90126029)
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研究分担者 |
藤村 忍 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (20282999)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | オートファジー / 肝細胞 / 消化管 / エイジング / マイクロアレイ |
研究概要 |
1.肝細胞でのオートファジー調節 (1) アミノ酸による抑制的制御機構 a) アルギニンによる制御機構:アミノ酸の作用機構としてmTORC1を介したシグナリング機構が提案されているが、肝ガンH4-II-E細胞にて、アルギニンがmTORC1を介さず、NOを介して調節する事が各種阻害剤(AG, L-NMMA, NOドナーなど)により、強く示唆された。 b) アミノ酸シグナリングでのROS関与の可能性:個別アミノ酸のオートファジー調節能についてROS産生とLC3の調節の連関を調べた。その結果、4種類のパターンに分類され、アミノ酸のシグナリングは単一ではなく、むしろ多様性を持つことが証明された。 c) アミノ酸のLC3 mRNA発現段階での調節:LC3 mRNAはLC3の細胞質での転換(-I → -II)よりもゆっくりとした調節を受ける事が判明した。飢餓による調節とアミノ酸による調節を転写因子Foxoによる制御の可能性との関連で調べたところ、後者でのみその可能性が認められた。 (2) ビタミンC、Eによる促進的制御機構:複数の抗酸化剤ではオートファジーを抑制し、両ビタミンとは反対の応答を示した。さらに食品中の抗酸化剤EGCGについて調べたところ、正負の二相性の応答を示し、現在その詳細を調べている。 2.消化管でのオートファジー調節 小腸上皮組織でのオートファジー活性を形態学的方法と生化学的方法とで比較検討した。マーカーLC3の免疫組織学では抗体の非特異性の問題からか、鮮明な画像を得ることが出来なかった。生化学的cytosolic LC3 ratio法ではやや希望の持てる結果が得られたので、引き続き検討を続ける。 なお、本研究分野の発展を図り、第66回日本栄養・食糧学会にてオートファジーと老化に関する初のシンポジウム「寿命延長とオートファジー」を主催した(仙台、5月20日)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(1) アミノ酸による抑制的制御機構 a) アルギニンによる制御機構: この新しい知見については、ほぼ論文化する段階に到達している。b) アミノ酸シグナリングでのROS関与の可能性:各種アミノ酸のシグナリングの多様性についても、全く新しい知見である。ROS関与ということが、他の栄養素(抗酸化物質等)の作用機構とも含めて、どういう関係となるか、まだもやがかかっていて明確ではない。c) アミノ酸のLC3 mRNA発現段階での調節:このmRNA段階での調節というものが、どのような意味を持つのかが、まだ不明。 (2) ビタミンC、Eによる促進的制御機構:エイジングとの関係で興味深いオートファジーの促進的調節であるが、他の栄養素へと拡張すると同時に、C,Eの調節機構の詳細を解明する必要がある。 2.消化管でのオートファジー調節 この項目が予想以上に困難である。In vivoでの栄養現象での消化管でのオートファジーの検出が目的なので、培養細胞で置き換えられない。組織観察となると、非常に小腸組織が複雑であり、綺麗な画像が得られない。報告が全くない訳である。
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今後の研究の推進方策 |
(1) アミノ酸による抑制的制御機構 a) アルギニンによる制御機構:この項目は、論文化する。 b) アミノ酸シグナリングでのROS関与の可能性: 食品成分EGCGなどの典型的抗酸化成分を試すことにより、ROS関与についてさらに深く解析する。c) アミノ酸のLC3 mRNA発現段階での調節: LC3ばかりではなく、マイクロアレイを用いて他のオートファジー関連タンパク質に遺伝子発現へと解析を拡大して、その法則性をさらに探る。 (2) ビタミンC、Eによる促進的制御機構:エイジングとの関係で興味深いオートファジーの促進的調節であるが、さらにサーチュインなどの老化遺伝子との関係付けを解析していく。 2.消化管でのオートファジー調節 現在のところ、この項目が手詰まりである。さらに広い視野から、方法論の調査検討を行う。
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