研究課題/領域番号 |
23380075
|
研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
長岡 利 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (50202221)
|
研究分担者 |
本多 裕之 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (70209328)
|
キーワード | ペプチド / ペプチドアレイ / コレステロール / 動脈硬化 / 大豆ペプチド / ラクトスタチン / ソイスタチン / 胆汁酸 |
研究概要 |
[1]世界初の主要食糧資源(大豆・卵・肉)由来の脂質代謝改善ペプチドの特定 (1)動物実験で有効な脂質代謝改善ペプチドの特定が必須である。そのためには精製したペプチド(β-コングリシニンα'サブユニットを含む)が大量に必要であり、高圧流速精製可能なAKTA avant 25などを用いて、大豆β-コングリシニンα'サブユニットを大量精製した。精製後に加水分解ペプチドを調製した。調製したペプチドのHepG2細胞への添加により、CHOL代謝関連遺伝子mRNAが変化した。 (2)卵白ペプチド及び、牛心臓ペプチドの分画条件が設定できたので、精製し、in vitroでのCHOLミセル溶解性試験実施可能な状態に研究が進んだ。 [2]ラクトスタチンの媒介する肝臓・腸の新規コレステロール代謝調節系解明 (1)CHOL 7α-水酸化酵素遺伝子プロモーターにルシフェラーゼ遺伝子を連結したルシフェラーゼプラスミド(種々のプロモーター変異プラスミドを含む)をHepG2細胞に導入し、ラクトスタチンに応答する転写因子を特定した結果、HNF3が関与する可能性があることが判明した。 [3]ペプチドアレイによる新規脂質代謝改善ペプチドの網羅解析 大豆タンパク質が血清CHOL低下作用を有することは以前から多く報告され、大豆タンパク質由来胆汁酸結合ペプチドがCHOL吸収抑制作用や胆汁酸再吸収阻害に対して重要な役割を担っていると推定されてきた。そこで、大豆のオイルボディーを形成する膜タンパク質であり、CHOL代謝改善作用を発揮する可能性のある大豆オレオシンのアミノ酸配列に的を絞り、ペプチドアレイにより胆汁酸結合ペプチドを網羅的に解析した。その結果、複数の胆汁酸結合ペプチドを発見した。これらのペプチドを化学合成し、in vitroで従来法(試験管内で放射性胆汁酸との結合能を測定)により胆汁酸結合能を評価した結果、VAWWMYよりも高い胆汁酸結合能を示すペプチドが存在した。また、試験管内で放射性CHOLを含むミセル溶液に、発見した2種類の新規胆汁酸結合ペプチドを添加し、CHOLミセル溶解性に対する影響を評価した結果、いずれのペプチドもVAWWMYと比較してCHOLミセル溶解性を顕著に低下させた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請した下記のいずれの研究内容においても、研究計画の内容が研究実績の概要のように、おおむね順調に進展しているためである。 [1]世界初の主要食糧資源(大豆・卵・肉)由来の脂質代謝改善ペプチドの特定 [2]ラクトスタチンの媒介する肝臓・腸の新規コレステロール代謝調節系解明 [3]ペプチドアレイによる新規脂質代謝改善ペプチドの網羅解析
|
今後の研究の推進方策 |
おおむね申請時の計画で遂行することで問題はない。申請後、研究をより高度なレベルで遂行するため、ラクトスタチン(IIAEK)受容体(仮説)を特定する研究内容では、GPCRの専門研究者との共同研究(科研費以外の資金)を立ち上げており、より新規性の高い方法や考え方でアプローチできる目途ができた点は強調すべき点と考える。
|