研究課題/領域番号 |
23380081
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
浅野 友子 東京大学, 農学生命科学研究科, 講師 (80376566)
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研究分担者 |
内田 太郎 国土技術政策総合研究所, 危機管理技術研究センター, 研究員 (60370780)
五味 高志 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (30378921)
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キーワード | 山地河道 / 流速 / 水深 / 流量 / マニングの粗度係数 / 水理/水文特性 |
研究概要 |
候変動等により、日本列島では大規模な降雨の増加による洪水の規模や頻度の増加が懸念されている。国土の60%以上を急峻な山地、森林が占める日本では、土石流や鉄砲水などの山地域の急激な水・土砂の流出メカニズムや、急激な水・土砂流出が河川生態系に及ぼす影響などを理解し予測する必要がある。山地河道の水理特性は山地域の急激な水・土砂の流出をコントロールするにもかかわらず、実態のデータが少なく、水・土砂の流出予測が難しい現状がある。そこで、本研究では山地河道の洪水時の水理特性の時間変化と、河道の形状、河床材料と水理特性の関係について明らかにする。次の3つを行うことを目的としている。 A) 多様な山地河道での洪水時の流量、水深、流速データの取得 B) 洪水時の山地河道の水理特性と河道形状の関係の解明 C) 山地域の新たな水・土砂の流出予測手法の提案 H23年度はA)を中心に行った。東京大学樹芸研究所青野研究林の河川に流速計、水位計を設置し、観測を開始した。いくつかの降雨イベント時にデータを取得することができた。データ整理と解析を行ったところ、山地河道の水理特性を表すマニングの粗度係数は水量の増減にともない大きく変化すること、またこれまで考えてきた値とくらべて大きいことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、観測を開始し、7月から10月にかけての梅雨、台風、秋雨の降雨を対象に、山地河道でこれまでほとんど行われてきていない流速の自記計測手法の開発を行ったところ、予想を上回る成果があり、降雨時の早い流れを短い時間間隔で詳細に捉えられることがわかってきた。一方で、当初の研究計画では水量と水深の同時観測から山地河道の水理特性の空間分布を把握することとしていたが、こちらは観測機器設置場所の条件などが厳しく、観測が難航している。そこで、研究計画を変更し、水量と水深ではなく流速と水深の同時計測を行うことにより、多地点で河道の抵抗特性を明らかにすることとした。そのため一部の研究費をH24に繰り越し研究を行った。
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今後の研究の推進方策 |
大きな降雨時の観測データを取得するため引き続き観測を継続して行う。 これまでの観測の結果、山地河道の水の流れは空間的にも時間的にも多様であることから、例えば同じ河道においてもステップ部とプール部で分けて複数箇所で観測を展開する。 山地河道は場所によって多様であることから、地形や河床材料の異なる他の河道でも観測を開始したい。
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