研究課題/領域番号 |
23380086
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
地頭薗 隆 鹿児島大学, 農学部, 教授 (50145455)
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研究分担者 |
寺本 行芳 鹿児島大学, 農学部, 助教 (10301392)
清水 收 宮崎大学, 農学部, 准教授 (20178966)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 深層崩壊 / 九州地方 / 発生予測 / 水文調査 / 地形・地質調査 / 電気伝導度 |
研究概要 |
本研究は,九州地方で発生した深層崩壊地の調査から,その発生を予測する手法を確立し,地域防災力を向上させることを目的としている。以下,今年度得られた研究成果をまとめる。 1)九州地方で発生した深層崩壊の分布,特徴,地形・地質・水文的な背景を明らかにした。対象地は,2012年に深層崩壊が発生した大分県日田市志谷川,1963年に発生した熊本県五木村横手谷,2005年に発生した宮崎県鰐塚山である。また比較のために,2011年に深層崩壊が多発した紀伊山地の田辺市熊野,五條市長殿・赤谷,野迫川村も調査した。これらの深層崩壊地の地形・地質・水文的な特徴は,地域レベルおよび流域レベルでの深層崩壊発生の危険度判定のためのデータとして有効である。 2)2012年日田市志谷川で発生した深層崩壊については,崩壊地の詳細な地形・地質・水文に関する現地調査から,深層崩壊の発生機構を解明した。この成果は斜面レベルでの深層崩壊発生の危険度判定のためのデータに活用する。 3)深層崩壊の流域および斜面レベルでの危険度判定に関して,これまで行われている地形・地質調査に加えて,水文調査を導入する方法を提案した。具体的には,渓流縦断方向において渓流水の電気伝導度(EC)を測定し,対象地域内で①相対的に渓流水ECが高い渓流と②渓流水ECが不連続的に高い値を示す渓流を深層崩壊発生の危険性が高い流域と判断するものである。 4)さらに,前項②の渓流においては,渓流水ECが高い地点の湧水調査から基岩内に地下水を貯留している斜面を特定し,深層崩壊発生の危険性のある斜面を抽出する方法を提案した。 5)以上の調査事例をさらに蓄積して,深層崩壊に対する警戒避難など地域防災力向上のための資料とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的にあげている次の3点について取り組むことができた。1) 九州地方で発生した深層崩壊の分布,特徴,地形・地質・水文的な背景を明らかにする。2) 深層崩壊地の地形・地質・水文的な背景に基づいて,深層崩壊をタイプ分けし,タイプごとの発生機構を解明する。3)深層崩壊のタイプごとの発生機構に基づいて発生場予測・危険度判定の手法を開発する。
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今後の研究の推進方策 |
今後も九州地方で発生した深層崩壊を対象に研究を進める。さらに2011年9月に紀伊半島で大規模な深層崩壊が多発したので,九州地方の深層崩壊と比較するために紀伊半島も調査対象地に加える。
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