ササ開花固定プロットにおける追跡調査および試料採取 2003年より調査を継続しているササ開花固定プロットについて追跡調査を引き続き行った。調査地内で、過去の開花記録をもとに開花の各ステージにある個体(非開 花、開花、前年開花、再生稈)を選定する。これらの個体の花芽形成伸長過程を継続して記録するとともに、分析用の試料として葉組 織を採取する。試料採取は月に一度行った。 上記で得られた分析用サンプルについて、花芽形成遺伝子群の発現量定量分析用のRNAを抽出し、花芽形成遺伝子群( 花成遺伝子) の発現量を定量した。本年度はチシマザサの開花は見られなかった。ササの花芽形成遺伝子については発現は微量であっ た。クマイザサについては2年前に開花したパッチに隣接する植物体で小面積の開花が認められた。この植物体は以前に開花したパッチと同じマイクロサテライト多座遺伝子型を持つことから、同一ジェネットに由来するラメットである可能性がある。クマイザサにつ いては開花後に枯死しないラメットが観察されていること、同一ジェネットに由来するすべてのラメットが一斉に開花しないことが研究代表者らが行った研究(H18-19年度科研費)で明らかになっている。クマイザサの開花遺伝子発現量は開花直後に開花抑制遺伝子の発現が高まる傾向が見られた。これらの結果からチシマザサとクマイザサでは開花枯死に至る遺伝子発現様式が異なることが示唆され た。
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