研究課題/領域番号 |
23380093
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研究機関 | 独立行政法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
升屋 勇人 独立行政法人森林総合研究所, 森林微生物研究領域, 主任研究員 (70391183)
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研究分担者 |
山口 岳広 独立行政法人森林総合研究所, 北海道支所, チーム長 (00353897)
市原 優 独立行政法人森林総合研究所, 東北支所, 主任研究員 (10353583)
石原 誠 独立行政法人森林総合研究所, 北海道支所, 主任研究員 (90353581)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | Ophistoma / 侵入病害 / キクイムシ / ハルニレ / ケヤキ |
研究概要 |
最近日本国内(北海道)においてニレ類立枯病菌が発見された。実際の被害はまだ確認されていないが、今後枯損が発生、拡大する可能性がある。そこで、いち早く大発生に対して警戒、対応するために、病原菌の起源と日本産ニレ類に対する病原力と変異の程度を確認することを目的とした。具体的には、日本国内におけるニレ類立枯病菌の分布状況、媒介者の種類、日本産ニレ類に対する病原力を明らかにするとともに、それらの起源と侵入ルートを遺伝子解析によって解明し、種間交雑の有無、病原力の変異の頻度を評価した。本年度は、北海道以外にニレ類立枯病菌が分布するかどうかを採集調査により検証するとともに、様々な菌株を用いた接種試験により病原力を調査した。その結果、北海道以外の地域ではOphiostoma ulmiに酷似した菌がケヤキ、およびケヤキの穿孔していたScolytus frontalisから検出された。それらは岩手、神奈川、宮崎において検出された。現在分類学的検討を行っているところであるが、温度特性や遺伝子配列に違いが認められた。また、病原力試験では、ハルニレ、オヒョウ、ケヤキに対してO. ulmi、O. novo-ulmi、ケヤキ由来のO. ulmi類似菌を各5菌株接種したところ、それぞれの種類ごとに菌株間で病原力に違いが認められた。全体的にはO. novo-ulmiが平均して強い病原力を有していると考えられた。また、感受性はケヤキが最も高い感受性を有していた。これらの成果は本病菌のリスク評価において重要な知見である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度の分布調査、および接種試験を継続して行っており、おおむね当初の計画通りの進展状況にある。特に北海道全域における調査で、本病原菌は北海道全土に分布していることが確認できた。逆に北海道以外の地域での調査では、今のところ本病原菌に類似する種類は確認できたものの、当該菌種の確認はできていない。次年度以降、さらに調査地域を広げて調査にあたるが、本病原菌は侵入種と考えられ、北海道以外にはまだ分布していないと予想されるため、当初の予想通りの結果となっている。
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今後の研究の推進方策 |
おおむね順調に進展しており、今後の研究の推進方策に大きな変更は予定していない。当初の実験計画通りに推進する。
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