研究分担者 |
藤原 健 独立行政法人森林総合研究所, 木材特性研究領域, 研究員 (00353839)
大山 幹成 東北大学, 学術資源公開センター, 助教 (00361064)
桃井 尊央 東京農業大学, 地域環境科学部, 研究員 (00445694)
武津 英太郎 独立行政法人森林総合研究所, 林木育種センター九州育種場, 研究員 (10370826)
古賀 信也 九州大学, 農学研究院, 准教授 (20215213)
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研究概要 |
将来予想される気候変動下での国産主要4樹種(スギ,ヒノキ,カラマツ,ブナ)の肥大成長量や密度変化の定量的予測を目的とし,年輪年代学的手法による気候応答解析を行った。H24年度においては,(1)年輪クロノロジーネットワークの構築および(2)遺伝的系統間差を明らかにするための産地試験林におけるクロノロジー構築を重点的に実施した。 (1)スギ,ヒノキ,カラマツの年輪試料採取を国内19地点において実施し,各地点につき20固体以上より試料を採取した。これら試料は現在試料の調製および測定中である。3地点については既にクロノロジーを作成し,気候応答解析を行った。紀伊半島におけるスギ,ヒノキについては冬季の気温が年輪幅に促進的に,梅雨入り前の日照時間が密度に促進的に影響していることを明らかにした。また,既往の試料やクロノロジーについて密度計測およびデータベース化を進め,約20クロノロジーについてカタログを作成した。(2)長野県小諸市・岩手県雫石村・北海道江別市に植栽されたカラマツクローン植栽試験地より成長錐コアを採取した。共通の20クローンについての分散成分解析の結果、年輪幅では交互作用分散の割合がクローン分散に対して大きく、材密度では逆にクローン分散の割合が大きい傾向が認められた。盛岡で採取したブナクローンでは,春季の気温との相関についてクローン間,産地間で違いがあり,晩霜害への反応に遺伝的差違が生じる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究推進に当たり最も重要なクロノロジーの構築について,目標20系列に対し19系列の試料を採取した。既採取試料の整理についてもデータベース化を実施しているところである。さらに,カラマツ,ブナの遺伝的変異研究については,目標とした試料採取の次段階の解析まで到達している。
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今後の研究の推進方策 |
H24年度以降も計画に従って,(1)国内各地における主要4樹種のクロノロジーの構築を推進する。この際,データ密度の低い近畿中国地方を重点的に採取を行う。軟X線デンシトメトリにおける年輪幅および密度測定が最も時間を要するボトルネックとなっているため,信州大学において測定補助の人員を雇用することで測定の効率化を図る。(2)遺伝的系統間差の解析に当たっては,計画どおり解析を進める。
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