気候変動下における国産主要樹種の肥大成長および材質の変動予測

2013 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 23380097
• 研究機関: 信州大学
• 研究代表者: 安江 恒 信州大学, 農学部, 准教授 (00324236)
• 研究分担者: 藤原 健 独立行政法人森林総合研究所, 木材特性研究領域, 組織材質研究室長 (00353839) ; 大山 幹成 東北大学, 学術資源研究公開センター, 助教 (00361064) ; 桃井 尊央 東京農業大学, 地域環境科学部, 助手 (00445694) ; 武津 英太郎 独立行政法人森林総合研究所, 林木育種センター九州育種場, 研究員 (10370826) ; 古賀 信也 九州大学, 農学研究院, 准教授 (20215213) ; 織部 雄一朗 独立行政法人森林総合研究所, 林木育種センター東北育種場, 育種研究室長 (40370853) ; 内海 泰弘 九州大学, 農学研究院, 准教授 (50346839)
• 研究期間 (年度): 2011-04-01 – 2014-03-31
• キーワード: 年輪年代学 / 温暖化 / 気候変動 / 早材幅 / 年輪幅 / 年輪内平均密度 / 材質 / スギ

研究概要

将来予想される気候変動下での国産主要4樹種の肥大成長量や密度変化の定量的予測を目的とし，年輪年代学的手法による気候応答解析を行った。H25年度においては，(1)前年に引き続いて地点を代表する時系列であるクロノロジーを作成した。最終的に，既往の物を含めてスギ16地点，ヒノキ11地点，カラマツ8地点，ブナ13地点にわたるクロノロジーネットワークを構築し，クロノロジーカタログデータベースに公表した。
スギとヒノキについては，ほとんどの生育地において冬～春の気温が年輪幅変動に対して促進的に影響していることが明らかになった。スギにおいては，早材幅変動が当該期間の気温の影響を受けており，一方，晩材幅変動に影響する気候要素は生育地によって大きく異なっていた。ヒノキにおいては，最も温暖な生育地では冬季の気温との相関が認められなかった。ブナにおいては，比較的寒冷な生育地では，夏季の気温が年輪幅に促進的に影響しており，一方温暖な生育地では気温が制限要因となっていないことが示唆された。カラマツについては，生育地によって年輪幅や密度と相関を示す気候要素が大きく異なっていた。
さらに，奥多摩において，気候応答の経年変化を移動相関法を用いて検討した。その結果，樹木年輪と気候との関係は，緩やかに経年変動していること，高い相関係数が認められる月平均気温の月が移行している場合があり，樹木年輪と気候との関係の経年変動には，時期（季節）的な変動も含まれている可能性が示唆された。
(2)気候応答の遺伝的変異を明らかにするため，スギ・ヒノキ・カラマツを対象に、複数のクローン・家系を対象に気候応答解析を行った。複数のクローン・家系が同一の応答を示す気候要素・時期が存在する一方で、特定のクローン・家系が特有の反応を示す気候要素・時期が存在した。気候変動への応答は同一種内に遺伝的変異が存在する可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)

理由

25年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

25年度が最終年度であるため、記入しない。

研究成果

• [雑誌論文] 東京都奥多摩地域に生育する樹木の気候応答に関する樹木年輪年代学的解析（第2報） 7樹種の樹木年輪情報と気候情報との関係 (2014)
  • 著者名/発表者名: 桃井 尊央, 大林 宏也, 栃木 紀郎, 小林 純, 塩倉 高義
  • 雑誌名: 木材学会誌 巻: 60 ページ: 1-8
  • DOI: 10.2488/jwrs.60.1
  • 査読あり
• [学会発表] 九州大学宮崎 演習林で育成されたカラマツの成長と木材性質 (2014)
  • 著者名/発表者名: 古賀信也，今村雄太，内海泰弘，菱 拓雄，榎木 勉，田代直明
  • 学会等名: 第125回日本森林学会大会
  • 発表場所: 大宮ソニックシティ
  • 年月日: 20140327-20140327
• [学会発表] 異なる生育地におけるヒノキ肥大成長の気候応答 (2014)
  • 著者名/発表者名: 安江 恒，平野 優，吉野真美，齋藤 大，城田徹央，古賀信也，内海泰弘，鍋嶋絵里，市栄智明，桃井尊央，藤原 健
  • 学会等名: 第64回日本木材学会大会
  • 発表場所: 愛媛大学
  • 年月日: 20140313-20140315
• [学会発表] カラマツ樹幹の局所冷却による早晩材移行期の形成層活動への影響 (2014)
  • 著者名/発表者名: 桑山明希，織部雄一朗，安江 恒
  • 学会等名: 第64回日本木材学会大会
  • 発表場所: 愛媛大学
  • 年月日: 20140313-20140315
• [学会発表] 主要針葉樹4種、広葉樹5種における立木の含水率の季節変動 (2014)
  • 著者名/発表者名: 前田あやの，安江 恒
  • 学会等名: 第64回日本木材学会大会
  • 発表場所: 愛媛大学
  • 年月日: 20140313-20140315
• [学会発表] 壮齢林ヒノキ肥大成長への強度間伐・台風による大規模攪乱の影響 (2014)
  • 著者名/発表者名: 吉野真美，斎藤 大，城田徹央，安江 恒
  • 学会等名: 第64回日本木材学会大会
  • 発表場所: 愛媛大学
  • 年月日: 20140313-20140315
• [学会発表] 四国と北海道に生育するブナの年輪幅と年輪内密度値の気候応答 (2014)
  • 著者名/発表者名: YUDONG SHEN，市栄智明，安江 恒
  • 学会等名: 第64回日本木材学会大会
  • 発表場所: 愛媛大学
  • 年月日: 20140313-20140315
• [学会発表] 異なる生育地に生育するスギの年輪幅および年輪内密度値と気候要素との関係 (2014)
  • 著者名/発表者名: 佐々木駿，市栄智明，安江 恒
  • 学会等名: 第64回日本木材学会大会
  • 発表場所: 愛媛大学
  • 年月日: 20140313-20140315
• [学会発表] 年輪構造の環境応答の遺伝的解析に向けた気象パラメータの検討 (2014)
  • 著者名/発表者名: 武津英太郎，中田了五，千吉良治，高橋 誠，安江 恒
  • 学会等名: 第64回日本木材学会大会
  • 発表場所: 愛媛大学
  • 年月日: 20140313-20140315
• [学会発表] 東京都奥多摩に生育する針葉樹5樹種の樹木 年輪情報－細胞分裂再開前の気温との関係（3） (2014)
  • 著者名/発表者名: 桃井尊央，大林宏也，小林 純
  • 学会等名: 第64回日本木材学会大会
  • 発表場所: 愛媛大学
  • 年月日: 20140313-20140315
• [学会発表] 下北半島産ブナ標準年輪曲線を用いた夏気温復元の可能性 (2013)
  • 著者名/発表者名: 星野安治，米延仁志，安江恒，野掘嘉裕，光谷拓実
  • 学会等名: 日本地球惑星連合大会2013年大会
  • 発表場所: 幕張メッセ
  • 年月日: 20130523-20130523
• [備考] 年輪クロノロジーリストデータベース
  • URL: http://treering.shinshu-u.ac.jp/