研究課題/領域番号 |
23380101
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
矢野 浩之 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (80192392)
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研究分担者 |
阿部 賢太郎 京都大学, 生存圏研究所, 助教 (20402935)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | セルロースナノファイバー / 解繊手法 / 高圧ホモジナイザー / グラインダー / ビーズミル / 二軸混練機 / 解繊性 / 結晶性 |
研究概要 |
本研究は、高圧ホモジナイザー、グラインダー、ビーズミル、二軸混練機といった様々なセルロースナノファイバー製造技術について製造したナノファイバーのTEM/SEM画像、結晶性、熱分解挙動、沈降性、水分散液粘度、繊維複合透明樹脂材料の直線透過率や強度特性などか各製造技術の長所、短所を明らかにし、用途別にコスト/パフォーマンスに優れたナノファイバー製造技術を明らかにするものである。 本年度はリファイナーで予備解繊したネバードライのNUKPを原料とし、高圧ホモジナイザー、グラインダー、ビーズミル、二軸混練機を用いて解繊を行った。処理回数とナノ解繊の度合い(SEM画像、沈降性、透明樹脂複合セルロースナノファイバーシートの直線透過率)、セルロースナノファイバーの平均分子、ナノファイバーシートのX線回折による結晶化度、TGA、力学特性(引張試験)の関係について評価した。 二軸混練機による解繊でも処理回数を増やすことで透明な繊維強化樹脂シートが得られる程度までナノ化を進めることが出来た。また、二軸混練機による解繊は、高濃度で大量のパルプを処理できることから、解繊効率に優れているといえた。しかし、結晶性、熱分解温度およびシート強度の低下が他の処理に比べ大きく、セルロースナノファイバーが混練解繊時にダメージを受けていることが明らかになった。また、セルロースナノファイバーも褶曲やねじれたものが多く見られた。一方、高圧ホモジナイザー法では、セルロースナノファイバーは曲がりが少なく、処理回数が増えても熱分解温度の低下や結晶性の低下は低く、同程度の解繊度合であっても解繊手法によってセルロースナノファイバーが受ける損傷には違いがあるといえた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、高圧ホモジナイザー、グラインダー、ビーズミル、二軸混練機といった様々なセルロースナノファイバー製造技術について用途別にコスト/パフォーマンスに優れたナノファイバー製造技術を検討するものである。 本年度は、予定していた4種の解繊手法について、処理回数と解繊度合、結晶性や耐熱性の変化を明らかにし、解繊手法によってセルロースナノファイバーの解繊度合とパフォーマンスの関係が異なることを見出すなど、研究は概ね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の成果に基づき、次年度は、4種の解繊手法について、処理回数と解繊度合の関係、処理回数とセルロースナノファイバーの結晶性、平均分子量、強度、耐熱性の関係をさらに詳細に検討し、圧力差に基づく解繊(高圧ホモジナイザー法)、低濃度でのせん断・衝突力による解繊(グラインダー法)、高せん断力下での低濃度解繊(ビーズミル法)、高濃度でのせん断力による解繊(二軸混練法)、それぞれの特徴を明らかにする。続いて、透明補強用途、樹脂補強用途(構造用途)、食品増粘用途等、異なる用途、目的について、コスト/パフォーマンスの観点からナノ解繊手法の長所、短所を議論し、今後のナノセルロース製造技術の基礎的データとする。
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