研究課題/領域番号 |
23380106
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
上田 宏 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (00160177)
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研究分担者 |
飯郷 雅之 宇都宮大学, 農学部, 准教授 (10232109)
天野 勝文 北里大学, 水産学部, 教授 (10296428)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | サケ / 母川水ニオイ / 嗅覚記憶 / NMDA受容体 / 神経ホルモン |
研究概要 |
我国の重要な水産資源であるサケは、稚魚期に記銘された母川水のニオイを頼りに親魚が繁殖のため母川回帰する。サケの母川水ニオイに対する嗅覚記憶機構を解明するために、嗅覚記憶に関連する脳内分子について次の5点に着目して研究を行い、平成24年度の実験により下記のような成果を得た。①サケ脳のNMDA受容体遺伝子の解析:シロザケのNMDA受容体遺伝子サブユニットNR1のプライマーを用いて、リアルタイムPCR法により発現量を解析したところ、降河回遊時ではふ化場からの放流直後に、河回遊時では前産卵場から産卵場にかけ発現量が増加した。②サケ稚魚の母川記銘時のTRHとNMDAの役割:ヒメマスのTRHaとTRHb遺伝子のプライマーを用いて、リアルタイムPCR法により発現量を解析したところ、TRHaとTRHbが銀化に伴い異なる変動を示した。③サケ親魚の母川想起時のGnRHとNMDAの役割:成熟ヒメマス親魚の脳培養を行い、sGnRHとcGnRH-IIホルモン量の変動を時間分解蛍光測定法により測定し、NMDA添加により両ホルモン量の放出量が脳各部位において増加し、NMDA開口チャネル阻害剤MK-801添加により両ホルモン量の放出量が脳各部位において減少する場合が多かった。④NMDA受容体阻害剤がサケの嗅覚記憶に及ぼす影響:ヒメマス1歳魚を用いてNMDA受容体の競合阻害剤のD-AP5と開口チャネル阻害剤のMK-801投与実験を行い、平成25年度以降に解析する予定である。⑤他河川迷入サケの嗅覚記憶の解析:耳石温度標識された千歳川水系のシロザケが、豊平川に241個体迷入していることが観察され、今後Y字水路における選択行動実験を計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度に行う予定であった、5つの研究項目に関する実験を開始するとともに、次年度の研究の準備を進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に得た実験結果、および準備した実験を着実に実行していく。ベーリング海におけるシロザケおよびベニザケのサンプリングを行う計画である。
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