研究課題
・ 半クローン発生の遺伝野外から採集した半クローン雑種、人工的に作出したF1雑種、さらにそれらを育て成熟させた後、様々な組み合わせの雑種を作り、それらの遺伝様式と染色体の観察を行った。その結果、半クローンするのは、野外雑種のみで、人為的に純粋種同士を掛けた組み合わせでは、組み替えする個体しか現れなかった。このことから、半クローンは単なる種間雑種として出現するのではなく、半クローンを引き起こす分子基盤(半クローン遺伝子と呼ぶ)が存在することが示唆された。また、野外雑種に母種の雄を掛け合わせると、ゲノム組成上は純粋種(戻しスジアイナメと呼ぶ)が作出される。このように作出した戻しスジアイナメは、半クローン遺伝子を保有しているが、配偶子は組み替えした。このことから、半クローン遺伝子は、同種のゲノムを2対保持している個体では発現しないことが示された。・ 半クローン発生と特異的な染色体構造上記のように半クローンには遺伝的な変異が存在することが示された。そこで純粋種、野外雑種、人為的なF1雑種、さらにそれらを掛け合わせた様々な雑種を作出し、それらの染色体の核型分析を行った。その結果、野外雑種は2組以上の動原体融合した染色体を持つことが分かった。非常に面白いことに、半クローンの子である戻しスジアイナメは動原体融合を持つが、戻しスジアイナメの子は、動原体融合が解消し、通常のスジアイナメと同様の核型を示した。戻しスジアイナメは組み替えることから、配偶子を作る際、相同染色体同士が接合し、その過程で動原体融合が解消することと考えられた。動原体融合が半クローンの原因因子である可能性と動原体融合が代々遺伝するのではなく代毎に解消するなど極めて特異的な遺伝様式を持つことなど、これまで報告のない知見が得られた。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Fish Biology
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