研究課題/領域番号 |
23380109
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
尾定 誠 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (30177208)
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研究分担者 |
伊藤 直樹 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教 (30502736)
千葉 洋明 北里大学, 水産学部, 准教授 (50236816)
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キーワード | 二枚貝 / 神経内分泌 / エストロゲンシグナリン / 配偶子形成 / 産卵 |
研究概要 |
1)ホタテガイGnRHペプチドの同定と精原細胞増殖機能の検証 ホタテガイGnRH(pyGnRH)に続き、マガキGnRH(cgGnRH)のGnRH前駆体cDNA完全長を明らかにすることができ得た。これらは、分子系統樹解析で既知の3タイプのGnRHとは別に、軟体動物でクラスターを形成した。さらに、ホタテガイの推定ペプチドとして11アミノ酸残基と12アミノ酸残基のペプチドが予想され、両推定ペプチドを合成し、ホタテガイ精巣培養系への添加実験を行った。両推定ペプチドともに、すでに報告しているmGnRH、よりも強い精原細胞増殖機能を発揮したが、アミド化の可能性から見て11アミノ酸残基からなる新規のGnRHであると示唆された。 2)二枚貝のエストロゲン受容体(ER)のアソフォームの同定 ヨーロッパイガイのMeER1、MeER2の配列をもとに、設計したORF両端の特異プライマーを用い、近縁種のムラサキイガイから2タイプのERの候補断片を獲得し、RACE法によってMgER1、MgER2のORFの全長を含むcDNAを得ることができた。近縁2種のイガイ類に共通して2タイプのERが存在することが明らかになり、既知の軟体動物ERに分類されるタイプとオーファン受容体である哺乳類のERR(エストロゲン関連受容体)に分類された。 3)セロトニン(5-HT)による卵成熟と精子活性化に対するOMAFの抑制機構 カルシウムイメージングによって、セロトニンやアンモニアによる精子運動能の活性化にともなう細胞外からのカルシウム流入と続くカルシウムの波動が観察された。組み換えOMAFは細胞外からのカルシウム流入に加えは同をも抑える運動能を強く抑制することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GnRHペプチド領域の推定および他の二枚貝での存在を示せた。二枚貝に共通して2種類のERの存在を証明できた。卵成熟と精子活性化にカルシウム流入と波動が必須であり、OMAFが両細胞において細胞内カルシウムを抑制調節していることを明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
二枚貝の内因性の成熟GnRHペプチドの最終的な確認のためののアミノ酸配列の決定をする必要がある。卵成熟と精子の活性化と抑制調節に関わるカルシウムイオンチャンネル解析や分泌動態に必要な組み換えOMAFの大量合成と、抑制調節の主体となる領域の特定のための部分配列の組み換えタンパク合成を進める必要がある。
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