研究課題/領域番号 |
23380110
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究分野 |
水産学一般
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
松原 孝博 愛媛大学, 南予水産研究センター, 教授 (60443389)
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研究分担者 |
三浦 猛 愛媛大学, 南予水産研究センター, 教授 (00261339)
太田 耕平 愛媛大学, 南予水産研究センター, 准教授 (10585764)
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キーワード | 受精 / 卵門 / 精子活性化 / 精子誘導 / 卵巣腔液 |
研究概要 |
硬骨魚類の卵では、厚い卵膜を貫通する卵門とよばれる孔が一か所のみ存在し、精子はそこを通らなければ受精できないことから、卵から何らかの働きかけなしに精子が卵門に進入し、受精することは困難と推察される。この研究では卵門への精子誘導と卵巣腔液の精子活性化機能に焦点を当て、精子に対する一連の働きかけ、「卵-精子相互作用」が硬骨魚類に共通して存在することを分子生物学的研究から明らかにし、その作用機構解明の端緒を開く。また、それら基盤的知見を背景に、種苗生産への適用技術を開発し、養殖や栽培漁業の効率化に貢献することを第二の目的とした。 これまでに、ニシン卵巣cDNAライブラリーから精子誘導因子(SMIF)遺伝子候補をクローニングした。平成23年度は、さらに解析を進め、2つのサブタイプの解析を完了した。その情報をもとに、ウナギSMIFの配列解析を完了すると共に、新たにカタクチイワシの飼育を行い、SMIF遺伝子の配列解析に着手した。さらにニシンSMIF遺伝子候補についてバキュロウイルスベクターによりリコンビナントタンパク質を作製し、特異抗血清を作製した。これを用いて候補遺伝子がSMIFのものであることを確認するため、ニシン卵について免疫組織化学を実施した。極度の非特異反応を抑制する方法を考案し、SMIFタンパク質が卵門の周辺のみに局在していることを確認した。また、解析した遺伝子配列からリアルタイムPCR系を作製し、成熟に伴う遺伝子発現量の増加を明らかにした。 精子活性化因子に関し、卵巣腔液による精子活性化が顕著なクロマグロに加え、より扱いやすいマツカワについて、画像解析による精子運動活性評価法を用いて対象種の精子運動に対する卵巣腔液の効果を調べた。クロマグロでは精子運動比率は明確に高まり、運動時間、運動速度はいずれも2倍以上に達した。液体クロマトグラフィーによる活性化因子の分画では、比較的低分子のタンパク画分に精子運動活性化作用が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
魚類の精子誘導因子、精子活性化因子に関する研究は極めて少なく、新たな領域と言える。平成23年度の研究において、ニシンについて精子誘導因子の遺伝子候補の免疫染色による局在性と発現時期の特定から、同因子の遺伝子であることが間接的に証明された成果は大きい。また、精子活性化に関しても画像解析による客観的評価を可能とし、年度目標を概ね達成した。これまで研究蓄積の少ない新領域で、かつ初年度であることから、論文業績はなかったものの、論文作成に必要なデータは得られつつあることから、次年度以降順次公表する。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は、卵門への精子誘導と卵巣腔液による精子活性化が、硬骨魚類に広く共通することを明らかにすることにあることから、精子誘導因子ではニシン、ウナギで得られた遺伝子情報をもとに、分類群の異なる多くの魚種で遺伝子解析を行う。また、精子活性化因子については、卵巣腔液の効果が顕著な魚種からタンパクを精製し、遺伝子情報を得ることが最重要課題と位置づけられる。
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