研究分担者 |
長江 真樹 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科, 教授 (00315227)
佐藤 琢 独立行政法人水産総合研究センター, 西海区水産研究所, 研究員 (20455504)
ニシハラ グレゴリーナオキ 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科, 准教授 (40508321)
武部 孝行 独立行政法人水産総合研究センター, 西海区水産研究所, 研究員 (40526993)
河端 雄毅 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科, 助教 (50606712)
照屋 和久 独立行政法人水産総合研究センター, 西海区水産研究所, センター長 (60443347)
河邊 玲 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科, 教授 (80380830)
名波 敦 独立行政法人水産総合研究センター, 西海区水産研究所, 研究員 (90372060)
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研究概要 |
本研究は、ハタ科魚類の繁殖機構の解明を、1)外部環境変化と関連した産卵時期の決定機構解明、2)配偶子最終成熟と産卵行動惹起に関する生理機構の解明、3)産卵場所への移動と生息場所への回帰行動の解明、に焦点を当て実施した。平成25年度の研究成果は以下の通りである。 1)ナミハタの生殖腺発達の月周リズムを明らかにするため、石垣島に水揚げされた個体と水槽で飼育した個体を用いて生殖腺の組織学的観察、血中性ホルモン[エストラジオール17β(E2)および最終成熟誘起ステロイド(17, 20β-DHP)]濃度の測定を行った。その結果、平成24年の調査同様に下弦の月に向けて生殖腺が発達し、その後数日にかけて産卵を行うことが分かった。卵黄蓄積に関わるE2は下弦に向けて増加するが、最終成熟に関わる17, 20β-DHPは下弦付近で急増することが分かった。 2)ナミハタおよびカンモンハタを用いて雌の最終成熟誘導に雄からのフェロモンが関与するか否かを検討した。ナミハタもカンモンハタ同様に雄からのフェロモンが雌の最終成熟を誘起している可能性があることが分かった。また、カンモンハタのフェロモン物質は精巣および腎臓に含まれることが分かった。さらに、卵黄蓄積を完了したカンモンハタ雌にテストステロンを投与すると、フェロモンを感受した個体と同様の卵母細胞変化が起きることが分かった。 3)ナミハタに発信器を装着して産卵場への移動と生息場所への回帰を調査した。その結果、小浜島南部を生息場所とする個体はヨナラ水道を産卵場とすること、また産卵後には速やかに同じ生息場所に高い確立で回帰することが分かった。また、雄は雌よりも長く産卵場にとどまることも分かった。これらの結果により、産卵期の漁獲規制は雄が産卵場へ蝟集する時期から行う必要があること、および生息場所における親魚の保護も必要であることが示唆された。
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