研究課題/領域番号 |
23380116
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研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
小林 牧人 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (30183809)
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研究分担者 |
香川 浩彦 宮崎大学, 農学部, 教授 (60169381)
征矢野 清 長崎大学, その他の研究科, 教授 (80260735)
吉崎 悟朗 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 教授 (70281003)
布柴 達男 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (10270802)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 生殖腺刺激ホルモン / バイオテクノロジー / 魚類 / 性成熟促進 / 養殖 |
研究概要 |
脳下垂体から分泌される生殖腺刺激ホルモン(GTH:濾胞刺激ホルモン,FSHと黄体形成ホルモン,LHの2種類)は魚類の性成熟過程において重要な役割を果たしていると考えられるが、これまで十分な量の魚類のGTHが得られず、魚類のGTH研究が停滞していた。申請者らはカイコを宿主として遺伝子工学的技術により、魚類の組換えGTH(rGTH)を生産している。本研究では、魚類のrGTHを用いた養殖魚の性成熟促進技法の開発を目指し、それに必要な基礎的知見を得ることを目的としている。 1.ホルモンの生産と生理作用:メダカのrGTHの生産を行い、rLHの卵成熟誘起作用を確認した。rFSHの生理作用については検討中である。 2.ホルモン生産法の検討:ブリ、キンギョのrGTHの生産効率は、これまでに生産されたウナギ、マスのそれに比べて低値であった。今回、ブリについて、コンストラクトにホルモンの非翻訳領域(UTR)の配列を組み込み、生産効率の向上を検討したが、生産効率の向上はみられなかった。 3.rGTHの測定法の確立:rGTHの定量のためにHis-tagを認識する酵素免疫測定法を立ち上げた。rGTHにはHis-tag構造が含まれているため、FSH、LH、魚種を問わずにこれまでに生産されたrGTHの定量が可能となった。 4.GTHの投与方法の検討:GTHを投与して養殖魚の性成熟を促進する際、投与方法が重要となる。今回の結果、ハタ科魚類では、雌にGTHを投与する際、雄のフェロモンを同時に与えることにより、GTHの効果が増加するという興味深い結果が得られた。なおここでの実験には市販のGTHを用いた。 5.ソマトラクチン(SL)の作製:SLはGTHではないが、体内での脂肪蓄積を促進し、性成熟促進に重要な脳下垂体ホルモンと考えられている。今回キンギョのrSLを作製した。生物活性は次年度に行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ホルモンの生産、生産効率についての検討、ホルモンの測定法の確立、ホルモンの投与方法の検討など、GTH研究において必要なことが着手できた。またソマトラクチンについても生産を行い、性成熟との関連を検討する準備ができた。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、これまでに生産したホルモンの生理作用について検討することを中心に進める。進展が遅れていた体内安定性を目指した構造改変GTHの作製については、ほぼ計画が固まったので、今年度から着手する予定である。
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