研究課題
脳下垂体から分泌される2種類の生殖腺刺激ホルモン(GTH)、濾胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)および他の脳下垂体ホルモンは魚類の性成熟過程において重要な役割を果たしていると考えられる。しかし、これまで十分な量の魚類の下垂体が得られず、魚類の生殖研究が停滞していた。申請者らはカイコを宿主として遺伝子工学的技術により、魚類の組換え下垂体ホルモンを生産してきた。本研究では、それらのホルモンの効率的生産法、生物活性、効果的な投与方法を調べることを目的としている。今年度は以下の成果が得られた。1.卵成熟機構の解明:昨年度作製したメダカ組換えLHの活用により、メダカの卵成熟ステロイド合成酵素の同定がなされた。またハタ科魚類の卵成熟は、卵母細胞の培養実験によりFSHではなく、LHにより誘起されることが明らかとなった。なおハタでの実験には市販の哺乳類由来のFSHおよびLHを用いた。2.構造改変GTH(structurally modified GTH, smGTH)の作製、体内での安定性および生物活性:ウナギsmFSHを作製し、キンギョに投与して生体内での安定性を検討した。しかし、今回作製したsmFSHは非構造改変FSHと比べて体内に長くとどまる効果は見られなかった。また作製したsmFSHの生理作用をウナギ卵成熟誘起効果およびキンギョ精液産生効果により調べた。smFSHの生物活性は、非構造改変FSHとほぼ同様であった。3.ソマトラクチン(SL)および甲状腺刺激ホルモン(TSH)の作製・精製:キンギョの組換えSLを作製した。従来の方法(His-tagによる精製)ではうまくSLが精製できず、異なるtagの活用によりSLの精製が可能となった。マンシュウマスの組換えTSHの作製、精製を行った。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Fish Physiol Biochem
巻: 39 ページ: 1353, 1363
10.1007/s10695-013-9789-3