GH遺伝子組換え魚は平均で6~11倍の体重増加を示す。しかし、臓器の形態異常、脊椎骨数の異常、受精率の低下などを示す。そのためGH遺伝子組換えアマゴのTg/+(ヘテロ雌由来)、 Tg/Tg(ホモ)そして、年齢コントロールを準備した。これら遺伝子組換魚の肝臓には著しい形態異常が見られる為、イルミナ解析を行った。結果はPUFAの修飾に重要なdelta 6 desaturase (Δ6FAD)やdelta 9 desaturase、elongation of long chain fatty acids 5b、thioesterase-Bが低下した。更に、ガスクロマトグラフィーにより、Tg/Tg、Tg/+とコントロールの肝臓と筋肉の脂肪酸分析を行った、組換え体ではSFAやMUFAが減少し、PUFAの割合が増加し、脂肪酸の異化が促進した。また、脂肪酸の生分解や生合成の代謝中間体である-acyl CoAの合成に関与するLong-chain-fatty-acid-CoA ligase1(ACSL1)と分岐脂肪酸のβ酸化に関与するAcyl-CoA oxidase 3 遺伝子が増加した。又、血清TAGは組換え体ではControlに比べ低下し、ケトン体の3-hydroxybutyric acid(3-HB)が組換え体の肝臓では増加した。血清グルコースは組換え体ではコントロールに比べ低下し、飢餓応答遺伝子であるglucose-regulated protein 78kDa遺伝子が増加、Mid1 interacting protein 1(Mid1ip1)遺伝子も低下した。一方、これら組換え体とAge controlの筋肉の脂肪酸比較では、アマゴ筋肉の主な脂肪酸であるOleic acid (18:1n-9)とPalmitoleic acid (16:1n-7)は肝臓での脂肪酸組成含量と類似のパターンを示し、Controlで高く、ヘテロ、ホモの順に低下した。また、22:6n-3は餌の中に多量にあるため、組換え体では高いと思われたが、組換え体の肝臓で減少し、筋肉で増加していた。
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