研究課題
①大腸組織における細胞間相互作用の制御:本年度、新たにヘマトコッカス藻由来のアスタキサンチン(Asx)が、DSS誘導性マウス潰瘍性大腸炎に対して予防効果を発揮することを確認した。また、既にマクロファージ様RAW264.7細胞に対する炎症因子の産生抑制作用を見出しているが、大腸細胞Caco-2に対してもAsxはTNF-alphaにより誘導されるIL-8などの炎症性因子の産生を抑制することを見出した。更に、その作用機構としてRAW264.7細胞に対するp38のリン酸化抑制、Caco-2細胞でのp38の発現抑制機構が示唆された。以上から、Asxはマクロファージと大腸細胞間の炎症性因子を介した相互作用を制御することによって潰瘍性大腸炎に対して予防効果を発揮することが推察される。②脂肪組織における細胞間相互作用の制御:3T3-L1脂肪細胞とRAW264.7細胞の共培養により発現上昇のみられたIL-6やRANTESなどの炎症性因子のmRNA発現量が、フコキサンチン(Fx)の生体内代謝物処理により低下した。更に、RAW264.7細胞の培養上清を用いることにより3T3-L1細胞でのIL-6やRANTESのmRNA発現量が上昇したが、Fx代謝物処理によりそれらの抑制が見られた。それに対し、3T3-L1脂肪細胞の培養上清ではRAW264.7細胞における炎症誘導は微弱であった。一方、3T3-L1細胞の培養上清によりRAW264.7細胞の遊走能が活性化し、Fx代謝物の一つであるアマロウシアキサンチンA処理によって低下した。更に、培養上清中のIP-10濃度がFx代謝物処理で低濃度であったことから、遊走を導くケモカインの産生制御を介したマクロファージの脂肪組織への浸潤抑制機構が推察された。これらはFxがマクロファージの浸潤と炎症因子の産生にかかわる細胞間相互作用を制御することによって脂肪組織での慢性炎症を効果的に抑制することを示す結果と考える。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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