研究概要 |
トラフグの毒結合タンパク質遺伝子TBT-bp1およびPSTBP1, 2遺伝子cDNA配列を導入したバキュロウィルスをカイコに感染させ、rTBT-bpおよびrPSTBP1,2をカイコの血液中に大量発現させた。得られたタンパク質を精製し,テトロドトキシン(TTX)およびトリブチルスズ(TBT)との結合性を検討した。その結果PSTBP1はTTXと結合しないがPSTBP2はTTXと結合することを証明した。また両者はTBTと結合した。 Trub.PSTBP1,2遺伝子断片及びIRES、hrGFP2、pA配列を含む遺伝子断片を、つなぎPCR法によりコンストラクトを作製し、ベクター(pDs-actb4k-Gal4FF)に消化・ライゲーションしてDNA plasmid vectorを作製し、メダカ胚にインジェクションした。投与後、胚発生および成長を経時的に観察するとともにGFP発現の確認を行った。その結果、PSTPB1,2を導入した6種類のトランスジェニックメダカ系統を作出した。 10種のフグ科魚類(トラフグ、クサフグ、ヒガンフグ、ショウサイフグ、コモンフグ、ヨリトフグ、オキナワフグ、シロサバフグ、クロサバフグ、ミドリフグ)とツムギハゼのmRNAを鋳型としてcDNAを合成し、 PCRによりTBT-bpsおよびPSTBP遺伝子の塩基配列を決定した。それらの分子進化学的解析から、PSTBPはTaikfugu属の共通祖先におけるTBT-bp2の4-5回程度の重複、1-2回の融合、また遺伝子間の協調進化によって生じたことが明らかになった。このような特異な遺伝子の進化は、PSTBPはTakifugu属の毒性の進化過程において何らかの自然選択を受けて急速に機能を獲得したと考察された。
|