研究課題/領域番号 |
23380127
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
柳村 俊介 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (80183979)
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研究分担者 |
志賀 永一 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (50235511)
東山 寛 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (60279502)
角田 毅 山形大学, 農学部, 准教授 (60355261)
坂下 明彦 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (70170595)
森田 明 宮城大学, 食産業学部, 准教授 (70292795)
小内 純子 札幌学院大学, 社会情報学部, 教授 (80202000)
中村 勝則 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (80315605)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 農家家族 / 経営資産 / 高齢者福祉 / 農業者年金 / 農業構造政策 / 農業経営 / 農業者の引退行動 |
研究概要 |
平成25年度に実施した調査研究の第1は国内調査である。東北稲作地域である秋田県大仙市において、高齢農業者を支える壮年層の営農意向や集落における農地管理の状況を補足調査するとともに、男性高齢者に比べソーシャルサポートの少ない女性高齢者におけるサポート源を把握した。また、秋田県の平坦水田地帯、美郷町の集落営農構成員(農家経営主)を対象として調査を実施し、農業者の引退プロセスに関し以下の示唆を得た。(1)大規模層の経営主は引退時期を70代後半と想定しているが、中・小規模層は引退時期を想定していない。(2)中・小規模層は体力が続く限り農作業を続ける意向を持っており、「現役→セミリタイヤ(作業従事のみ)→リタイヤ」という段階的な引退プロセスを望んでいる。(3)集落営農による水稲・大豆の作付団地化と個別水稲作+大豆共同経営の取り組みが、前述した段階的な引退を可能にするとともに、機械作業のスケールメリット発揮による構成員の所得増をもたらしている。さらに、山形県酒田市の社会福祉協議会において管内の高齢者福祉に関するヒアリング調査と資料収集を行った。集落調査対象予定である新堀、北平田地区において高齢化や社会関係の特質、関連する今後の諸課題等について概要を把握し、調査対象地の選定と具体的調査計画の検討を行った。 第2に、北米における農業者引退の動向とそれに対する諸対応に関する調査である。調査地は米国・アイオワ州およびカナダ・オンタリオ州である。アイオワ州ではアイオワ州立大学ビギニングファーマーセンターの協力を得て、州の農業関係機関で聞き取りを行うとともに、全米最大規模のファームマネジメントカンパニーであるハーツ社の聞き取りを実施した。オンタリオ州では州農業省の関連部署と関係団体の聞き取りを行った。 第3に、韓国農村振興庁で開催された農業経営継承に関するセミナーに参加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の中心的な内容は北海道・東北における調査研究である。予定していた調査活動ついてはすでに8割程度を終えた。北海道については,水田作・畑作・酪農の各地区においてそれぞれ20~40戸の農家調査を平成24年度までに実施した。また,東北については,平成24年度に秋田県大仙市の山間集落,平成25年度に同市・平坦集落の調査を実施した。ただし、平成25年度に予定していた山形県酒田市の調査については、予備調査を行い調査地を決定した段階であり、本調査は平成26年度に持ち越した。 国内調査の内容は,①農家調査,②関係機関調査,③アンケート調査の3つだが,①、②についてはほぼ予定通りに進んでいるが、③アンケート調査についてはまだ半分程度の実施状況にとどまっている。特に東北地方の調査地では未実施の状態である。 国内調査に加えて、本研究では平成25年度と26年度にかけて北米での海外調査を実施する計画であった。平成25年度に米国・アイオワ州とカナダ・オンタリオ州で調査を行った。この調査では、米国におけるファームマネジメントカンパニーの聞き取りなど、予定していた調査が実現し、所期の目的を達成することができた。海外調査は当初の予定通り進んでいる。 平成24年度に韓国および英国の研究者を招聘して国際セミナーを開催した。平成25年度は、韓国農村振興庁で半日のセミナーが開催され、研究代表者がこれに参加した。韓国農村振興庁の研究者も類似のテーマで研究を進めていることから、平成26年度も研究交流の機会を設ける予定であり、海外研究者との研究交流についても実績を積み重ねている。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は最終年度となるので、残された調査課題を実施するとともに調査研究の取りまとめを行う。国内の調査研究では、①農家調査に関しては、北海道の畑作地帯と酪農地帯の補足調査、山形県の本調査が必要である。北海道の調査については、農地を長期貸付する傾向が生じていることから、この点についての分析を行う。また、山形県については酒田市内で2集落を取り上げ、悉皆調査によって高齢農業者の動向を把握する。これらの農家調査に加え、②北海道の一部および東北においてアンケート調査を実施する予定である。 海外調査は、引き続き北米での調査を実施するが、オンタリオ州での調査において、ケベック州をモデルとした取り組みが行われていることが把握されたため、平成26年度はケベック州の調査を加えたい。 以上の調査研究に加え、平成26年度は研究のとりまとめに向けて2回の打ち合わせ会議を開催する。うち1回は国際セミナーを兼ね、韓国農村振興庁の研究者との研究交流をもつ予定である。
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