研究課題/領域番号 |
23380128
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
両角 和夫 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (30312622)
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研究分担者 |
矢坂 雅充 東京大学, 大学院・経済学研究科, 准教授 (90191098)
茂野 隆一 筑波大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (60292512)
西澤 栄一郎 法政大学, 経済学部, 教授 (30328900)
川村 保 宮城大学, 食産業学部, 教授 (20177736)
石井 圭一 東北大学, 大学院・農学研究科, 准教授 (20356322)
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キーワード | 農協 / 環境と経済の両立 / 地域運営 / 地域環境ビジネス / 自然環境 / 社会システム / ネットワーク型農協 / 職員意識 |
研究概要 |
本研究の目的は、一つは、今後農協が地域の環境と経済の両立を目指す地域運営を担う場合、どのような新たな課題、あるいは事業・活動に取り組む必要があるのかを具体的に示すこと、二つは、そうした課題等に対処するためには、農協はどのような組織・事業体制に再編することが求められるのか、そのあり方を示すことである。このため23年度は、初年度でもあることから参加研究者等で既往の研究等を整理・検討し、農協が取り組むべき新たな課題として、地域の自然環境の修復・維持をビジネス(地域環境ビジネス)によって実現できるようにすること、その際、必要な社会システムの利用・構築に積極的に関わること、そして、組織・事業体制の再編の方向としては、従来の総合農協型(どんぶり勘定型)ではなく、コミュニティ農協と事業農協を緩やかに一体化するネットワーク型農協を目指すこと、を改めて確認した。その上で、全国ほぼ全総合農協(約700)を対象に、自然環境の修復・維持をビジネスとして行う(行おうとしている)農協がどの程度あるかなど、新たな事業・活動のあり方、および農協の組織・事業組織体制の関する現状の問題と課題、将来の方向等について、アンケート調査を実施した。回収率は4割弱と比較的高い。調査結果からは、数こそ少ないが新たなビジネスを模索しているところがあることや、多くの農協で組織・事業体制に問題があり新たなあり方を模索していることなどが窺えた。こうした情報は、従来の調査・研究ではほとんど得がたいものである。来年度は、実際にこうした新たな事業に組織・事業体制の再編に積極的に取り組んでいる農協について本格的な現地実態調査を行い、本研究で目的としている今後の地域運営に必要な事業・活動や組織・事業体制のあり方を検討する上での具体的な検討材料を得ることにしたい。また、今回は計画にはなかったが、職員の意識の面からの調査が必要と考え、WEBを用いて、宮城県の全農協(14農協)の職員意識の調査と掲示板によるネットワーク化の社会実験等を併せ行った。今年度は、100名を超える職員から回答があり、それらを集計、分析した。来年度はさらにネットワーク化の実験を続け、職員の意識面からの調査の充実を図りたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、当初予定した計画どおり、農協を対象とした全国規模での発掘調査を行い、幾つかの農協についてはある程度までボーリング調査が出来た。また、当初計画していなかった職員の意識調査を、宮城県に限ってではあるが実施できた。こうしたことを勘案するとほぼ順調にしたと言える。しかし、今年度は、東日本大震災のため当初予定していた岩手県等での調査や海外調査が実施出来ず、また、余力があればしたいと考えていた関連団体の調査も出来ず、計画を上回る成果を上げるに至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進としては、23年度の全国規模の農協調査で発掘した、新たな事業・活動、とくに地域資源を活用した再生可能エネルギーや環境資材生産等に取り組んでいる農協について、出来る限り多くを対象にボーリング的現地実態調査を実施する予定である。また、ネットワーク型農協への転換の展望に関して、スペインのバスク地方にあるモンドラゴン協同組合を参考にしているが、計画通り現地に赴き調査する予定である。今年度は震災復興の手伝い等で時間が制約されて難しかったが、来年度は土地改良区や森林林組合についても、現地に赴き農協との関連の実態を調査し、新たな関係のあり方について検討する手掛かりを得ることにしたい。
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