研究課題/領域番号 |
23380128
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
両角 和夫 東京農業大学, 公私立大学の部局等, 教授 (30312622)
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研究分担者 |
平口 嘉典 女子栄養大学, 栄養学部, 講師 (10509285)
川村 保 宮城大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20177736)
石井 圭一 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (20356322)
西澤 栄一郎 法政大学, 経済学部, 教授 (30328900)
茂野 隆一 筑波大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (60292512)
矢坂 雅充 東京大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (90191098)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 農協 / 環境と経済の両立 / 地域運営 / 地域環境ビジネス / 自然環境の修復 / ネットワーク型農協 / 職員意識 |
研究概要 |
本研究の目的は、大別して次の二つである。一つは、農協が環境と経済が両立する地域社会の構築を目指して地域運営を行う上で、どのような課題あるいは事業・活動に取り組む必要があるのかを明らかにすること、二つは、そうした課題等に対処するためには、どのような組織・事業体制が必要であるか、すなわち現状の体制をどのように再編すべきか、そのあり方について調査、研究することである。 このため、初年度は、①農協の今後の課題として、地域の自然環境の修復・維持をビジネス(地域環境ビジネス)によって実現するために積極的に関わること、②新たな必要な組織・事業体制としては、従来の総合農協型から、コミュニティ農協と事業農協を緩やかに一体化するネットワーク型農協を目指す必要があることなどを提示し、その上で、実際、我が国農協がこうした課題にどの程度応えているのかについて、全国の総合農協を対象にアンケート調査を実施し、併せて、宮城県を対象にWEBを使った農協職員の農協に対する意識調査を実施した。 24年度は、こうした調査を基に、広域合併農協と小規模未合併農協の違いに着目して複数の農協について現地実態調査を行い、地域環境ビジネスに積極的でない理由や現状の組織・事業体制の持つ問題点等について分析・検討した。また、宮城県の農協を対象に、農協職員の農協に対する意識や職員間のネットワーク化への取り組みに関してヒヤリングを行った。一方、海外調査では、スペインのモンドラゴン協同組合連合体(MCC)を訪問・ヒヤリングを行い、そこでの本部機能(MMCサービス)、地域への貢献等の実態を知ることで、我が国のネットワーク型農協を考える上で重要な示唆を得た。また、ドイツでは地域資源を活用した農村地域振興の事例(ニーダーザクセン州等)の実態調査を行い、住民組織等によるエネルギー自給の村づくりの実態と農協や行政の課題について分析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、前年度におこなった全国の総合農協を対象としたアンケート調査の結果を用いて、主に、広域合併農協と小規模未合併農協という切り口から、農協の地域運営や組織・事業体制の再編の実態を調査し、いくつかの貴重な結果を得た。 また、海外調査では、ネットワーク型農協を考える上で当初から調査を予定していたモンドラゴン農協に見調査し、農協の今後の在り方を考える手がかりを得た。これらの調査、研究はほぼ年度当初に予定していたことである。 しかし、今年度は、国内で地域運営に積極的な農協や組織・事業体制の再編に積極的な農協についてのボーリング調査については、海外調査のために時間が制約され所期の目的を十分果たせなかった。これは次年度に補完する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度当初の予定通り、初年度に行った全国の総合農協を対象とした調査結果を活用し、地域運営と組織再編に先進的に取り組んでいる農協の調査を実施する。また、これまで取り組んでこなかった、土地改良区や森林組合に関しても、農協との関わりの実態を調査し、今後のあるべき関係について検討し、農協を中心とした地域運営の可能性について考える手がかりを得る。 海外調査では、引き続き欧州を対象に、地域資源を用いて地域振興に取り組む住民等の組織の実態やそこでの農協等の関わりについて現地実態調査あるいは関係機関でヒヤリング調査を行い、我が国農協の在り方を考える示唆を得ることにしたい。 そして今年度は最終年度に当たることから、これまでの本調査研究の成果を踏まえて、①農協が地域の自然環境の修復・維持をビジネス(地域環境ビジネス)に積極的に関わるためには、具体的に何をすればよいのか、また、②新たな必要な組織・事業体制に関して、従来の総合農協型から、コミュニティ農協と事業農協を緩やかに一体化するネットワーク型農協を目指すには何をすればよいのか、について取りまとめることにしたい。
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