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2011 年度 実績報告書

衛星・空間情報と小地域統計の統合による人口減少下の農村地域経済モデル

研究課題

研究課題/領域番号 23380129
研究機関東京大学

研究代表者

八木 洋憲  東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (80360387)

研究分担者 栗田 英治  独立行政法人農業食品産業総合研究機構, 農村工学研究所, 主任研究員 (00414433)
力丸 厚  長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (70334688)
芦田 敏文  独立行政法人農業食品産業総合研究機構, 農村工学研究所, 主任研究員 (70414448)
キーワード地域農業計画
研究概要

本研究は,衛星情報と空間情報を属地データとして活用し,属人データかつ全数調査であるセンサス小地域統計と統合し,また,農業経営調査によって実態的な検証を行うことにより,中山間地域を対象として,小地域別の作付面積,労働投入,農業の担い手の在り方,産出量,粗生産額といった地域全体の将来像を描き出すことを目的としている。初年度の2011年度は,1)小地域統計部門では,i)農業センサス集落カードを用いたランダム係数回帰モデルにより,経営規模と年齢別の農業労働投下量を推計した。その結果,水稲作での小規模高齢農家の労働投入が大きく,そのうち7割程度については若い担い手の規模拡大によって代替可能であることが示された。ii)また,中山間地域等直接支払い(第3期)の協定動向についてデータ収集を行った。2)衛星空間情報部門では,i)対象地域の圃場情報,耕作者情報約5万件を入手し,GISによりデータベースの統合を行った。ii)経営別の圃場区画,通作距離の解析を行い,水田経営の規模拡大にともない,両者が収束していく傾向を把握した。iii)分解能30mの衛星データに対してパンシャープン処理を施して15mに補正し,作付の有無を判別する解析を試行した。iv)また,傾斜地におけるオーバーレイ解析により,景観資源として優れた棚田を抽出した。3)農業経営調査部門では,i)大規模な集落営農と個別経営の主体別の規模拡大と農地集積の条件について析出し,集落営農では,比較的農地集積において障害が少ないのに対して,個別経営では様々な農地集積戦略を試みている実態が示された。ii)また傾斜地における聞き取り調査から,3~6haの個別経営や集落営農,公社による耕作が行われている実態が示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度は,空間情報,衛星情報,統計情報といった対象地域に関わる膨大なデータの入手だけでなく,解析も進みつあり,一部は研究論文として公表された。また,小地域統計と衛星空間情報をベースにした農業経営調査は,比較的平坦な十日町・川西地区と,急傾斜である松代・松之山地区においてそれぞれ実施され,前者については3月の学会にて口頭報告を行い,後者についても次年度半ばに報告予定である。本研究は,共通の対象地域を「越後妻有地域」に定め,その地域との連携を重視しているが,今年度5月にはキックオフ研究会を,2月には初年度の研究成果報告会を,いずれも現地にて実施し,研究成果の共有と意見交換を行うことができた。

今後の研究の推進方策

次年度は,比較的平坦な十日町・川西地区と,急傾斜である松代・松之山地区において,それぞれ小地域統計,衛星・空間情報,農業経営統計調査による分析を進め,地域の将来像を描き出すことを試みる。具体的には,i)衛星情報のさらなる解析と,衛星情報と空間情報を用いた小地域統計の分析の着手,ii)農業経営の規模拡大と農地集積におけるコストと収益,販売戦略,経営管理との関連性の検討,iii)傾斜地における農地保全の主体別(所有者,耕作者,地域外住民など)の役割の把握,iv)中山間地域等直接支払い等の政策による影響の把握,v)以上を統合した地域農業計画の理論構築への着手について実施する。以上の研究過程においては,現地研究会の実施を通じて,地域の実態やニーズとのすり合わせを行いつつ進める。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] イギリスの条件不利地域政策の評価-日本の中山間地域政策との比較を通じて-2011

    • 著者名/発表者名
      八木洋憲
    • 雑誌名

      農村計画学会誌

      巻: 30巻2号 ページ: 135-138

  • [雑誌論文] 水田地帯における高齢者の労働投入量と経営規模問題-新潟県農村部を対象として-2011

    • 著者名/発表者名
      八木洋憲
    • 雑誌名

      農村計画学会誌

      巻: 30論文特集号 ページ: 225-230

    • 査読あり
  • [学会発表] 農地資源稀少下における水田経営規模問題-付け値地代論による計数的接近-2012

    • 著者名/発表者名
      八木洋憲
    • 学会等名
      日本農業経済学会
    • 発表場所
      九州大学(福岡県)
    • 年月日
      2012-03-30
  • [学会発表] 大規模水田経営の農地集積戦略とその評価-新潟県内の水田単作地域を事例として-2012

    • 著者名/発表者名
      数寄竜也・八木洋憲
    • 学会等名
      日本農業経済学会
    • 発表場所
      九州大学(福岡県)
    • 年月日
      2012-03-30

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公開日: 2013-06-26  

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