研究課題/領域番号 |
23380130
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
石田 正昭 三重大学, 大学院・生物資源学研究科, 教授 (80144228)
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研究分担者 |
波夛野 豪 三重大学, 大学院・生物資源学研究科, 教授 (30249370)
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キーワード | 総合農協 / 労働者協同組合 / 食・農・環境 / SCIC / CECOP / COCETA / 総合農協の組合員制度 / 地域再生 |
研究概要 |
本年度は、波夛野教授との研究会を立ち上げ、(1)わが国総合農協と労働者協同組合の結合原理の違いや連携関係を明らかにすること、(2)日本と西欧(フランス、スペイン)の協同組合、とりわけ食、農、環境の取り組みをすすめている協同組合の結合原理の違いを明らかにすること、の2点に注力した。 (1)については、労働者協同組合の事例として、福祉クラブ生協(横浜市)、ワーカーズコープ熊本事業所、但馬事業所(兵庫県)、矢板事業所(栃木県)、大崎事業所(宮城県)を取り上げ、それらの組合の組織・事業のあり方と地区を同じくする総合農協との連携関係を調査した。総合農協と労働者協同組合の組合員の重複関係はおおむね乏しかったが、労働者協同組合が農村地域へ進出するに当たっては総合農協の組合員や職員の支援が効果的であったことが判明した。ただし、総合農協の対応は組織的というよりは個人的、個別的なものが多かった。この原因は総合農協の大規模化に求められ、したがって今後の両者の関係強化は支店をベースになされるべきであるとの提唱が可能である。 (2)については、わが国の労働者協同組合に対応するフランスのSCIC(コミュニティ共同利益組合)の組織・事業・経営に関する現地調査と、そのヨーロッパ連合組織CECOPでの情報収集を行った。実態的に見ると、SCICはフランスの労働者協同組合運動の太宗にはなりきれておらず、政府の支援・推奨にもかかわらず組織が不安定との印象を持った。ただし、SCICのマルチステークホルダータイプの組合員制度はわが国総合農協に大きな示唆を与えるものと考えている。この他、スペインの労働者協同組合に関する情報をCOCETA(スペイン労働者協同組合連合)から得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2012年9月に農山漁村文化協会から石田正昭著『農協は地域に何ができるか』(地域の再生シリーズ第10巻)の出版が予定されている(出版社との契約で脱稿は2012年6月末日)。この中に本科研で得られた情報や知見を盛り込みたいと考えており、現在、鋭意、調査・研究を進めている。ほぼ100%の研究時間を、本科研をベースとする調査・研究に注ぎ込んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、上述の著書の完成をめざす。その上で、現地調査にもとづく日欧の比較研究に進むこととしたい。ちなみに2012年は国際協同組合年であることから、本科研の研究成果を活用もしくは発表する機会が増えると考えている。
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