研究課題/領域番号 |
23380132
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
増田 佳昭 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (80173756)
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研究分担者 |
関 英昭 青山学院大学, 法学部, 名誉教授 (10118721)
高橋 卓也 滋賀県立大学, 環境科学部, 准教授 (20336720)
伊藤 康宏 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (40201933)
小野 奈々 滋賀県立大学, 環境科学部, 助教 (90507716)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 協同組合 / 生産森林組合 / 農事組合法人 / 漁業生産組合 / 企業組合 / 漁協 / 森林組合 / 協同組合法 |
研究概要 |
研究期間2年目にあたる24年度は、企業体形成型協同組合の現地調査を中心に研究を行った。とりわけ、滋賀県内の生産森林組合および島根県内の漁業生産組合の現地調査についてはメンバー全員で実施することで研究対象の共有を図るとともに、あわせて研究会を開催し、問題意識の共有と意見交換を行った。 増田は主として、日本における企業体形成型協同組合に関する制度的共通点と差異を中心に検討を行った。また、農事組合法人形態をとる集落営農組織を取り上げ、構成員の高齢化と世代交代にともなう労働力構成の変化を考察した。 高橋は生産森林組合に関する調査の一環として、過去の政策形成過程について分析を行い、「課題」、「政策」、「政治」の三つの流れを概観した。長期的に「課題」は深刻化しているが「政策」の提言が十分になされていないこと、1960年代をピークに生産森林組合および入会林野に対する政治的関心が低下してきたことが判明した。伊藤は島根県において漁業生産組合について調査研究を行い、法人形態の変化を視野に入れながら、島根県漁業において漁業生産組合が歴史的に果たしてきた役割を明らかにした。小野は、農村女性の起業を中心に事例収集を行い、あわせて、地域環境ボランティアの活動組織を中心に実態分析を行った。関は協同組合と営利法人における法人制度の比較を行い、企業体形成型の特徴を検討した。 中間段階ではあるが、これら企業体形成型協同組合法人組織は、「地域資源管理」や「地域資源の活用」を目的とする点で共通点を持つが、運営の自由度や政策的位置づけなど、必ずしもそれにふさわしい制度になっていない点が明らかにされつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画では、1年目に文献研究と制度問題の検討、予備的事例研究、2年目に事例調査と各分野の企業体形成型協同組合の類型化と制度的特徴の分析とした。 24年度は事例調査を共闘で行い、分野ごとの研究はほぼ順調に進んでいる。分野ごとの経営体の類型化と制度がもつ問題点の析出は、必ずしも十分ではないが全体としては、おおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
25年度は事業最終年に当たるので、分野別調査研究ととりまとめ作業を行う。分野調査研究については、農事組合法人、企業組合について、メンバー合同調査を引き続き実施する予定である。とくに、企業組合については事例研究も少ないので、農村での女性起業事例とともに、都市でのワーカーズコレクティブも視野に入れて研究を行う。 研究のとりまとめ作業については、各自のとりまとめとともに、研究会での相互検討と共通見解の形成を行い、学会で共同発表するなどのかたちで研究成果の公表を図る予定である。 本研究では、地域資源管理にかかる法人形態の重要性と、企業体形成型協同組合制度の特徴が明らかにされつつある。本研究の問題意識を引き継ぎつつ、地域資源管理によりふさわしい法人形態とその制度にかかる新たな研究を発展させるための準備も合わせて行う予定である。
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