研究課題/領域番号 |
23380135
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
後藤 一寿 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 九州沖縄農業研究センター・作物開発・利用研究領域, 主任研究員 (70370616)
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研究分担者 |
高橋 京子 大阪大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (00140400)
井形 雅代 東京農業大学, 国際食料情報学部, 准教授 (10231127)
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研究期間 (年度) |
2011-11-18 – 2014-03-31
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キーワード | 健康栄養産業クラスター / QOL / 薬用植物 / 産業クラスター / 機能性農産物 |
研究概要 |
本年度は、以下の通り研究を行った。 1)QOL向上効果並びに経済効果を踏まえた栄養・健康産業クラスターの評価方法の開発をするため、オープンイノベーションによるクラスター評価の検討を行った。オープンイノベーションを提唱したチェスブロウは、同モデルでは、プロジェクトを立ち上げる技術は社内外どちらでもよく、新しい技術は様々なステージに取り込まれ、製品開発に活かされる。同時に、開発された新技術は他企業などが使えるようにライセンス供与を進めるなど、研究開発における知識の流通が活発に行われるメリットがある。この整理からも明らかなように、オープンイノベーションでは、人や知識の流動によるメリットが強調されており、研究開発の促進や技術移転を効果的に行うことが可能である。この観点からフランスのVITAGORAを評価すると、味覚・栄養・健康というテーマを掲げ、食に関する知的セクターが集うことで様々な技術や製品が開発され発展を遂げている。その結果、地域の大企業が中心となって、新規企業の設立に伴う雇用の創出を実現し、自社技術を活かした製品開発を加速化するなどの効果が確認され、雇用創出と経済成長の同時実現が行われている。 2)健康産業クラスターの事例調査として、海外ではフランスのVITAGORA、ケルシーのサフラン産地、グラスのPASS、タイのウコン、オランダのフードバレーの調査を実施した。特にフランスの調査では、2004年に設立されたフランス食品産業イノベーションネットワークの調査を行った。F2Cの目的は企業における研究開発とイノベーションの推進であり、現在370社の食と健康に関わる企業、130のコンシューマー・サイエンス(消費者の動向、嗜好の科学的分析をする研究ジャンル)から農業に至る一連の農業ビジネスを得意分野とする研究開発のエキスパート、35の高等教育機関などがネットワークを構築している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は健康栄養産業に関する現地調査をフランス、オランダ、タイで実施し、多くの情報と人脈を獲得できた。特にフランスの現地調査の結果は学会に報告し、2報の原著論文が公開された。また、オランダワーヘニンゲン大学との共同調査の計画も順調に進んでいる。さらに、フランス国からは6月に訪問を受け研究や事業、日本の6次産業化に関する様々な意見交換を進めるなど、関係構築が進んでいる。これらの結果からも明らかなように、本研究計画はおおむね計画は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は最終年となるため、日本農業経営学会での分科会の開催及びセッション報告、和漢医薬学会でのシンポジウム報告などを予定している。また、現地調査では、ニュージーランド、タイ、フランス、台湾などの調査を進め、実際の健康栄養産業の実態を明らかにするとともに、産業クラスターの形成条件の解明を進める。 また、研究終了後に予定している学術図書の出版へ向けた準備と執筆も進め、早期に成果をまとめるようにする。
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