研究課題/領域番号 |
23380136
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究分野 |
農業土木学・農村計画学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉田 修一郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (90355595)
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研究分担者 |
西田 和弘 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (90554494)
高橋 智紀 (独)農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター, 主任研究員 (00355562)
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キーワード | 水田土壌 / 収縮膨潤 / 酸化還元 / 粘弾塑性 |
研究概要 |
水田および水田転換畑における土壌構造の変動実態の把握のため、土壌の粘土鉱物組成や土性、作付条件、有機物の投入条件、排水条件が異なる福岡県、新潟県、秋田県の水稲作付水田および水田転換畑において、作物の栽培歴にあわせ定期的に作土および下層土を採取した。採取時期および採取ほ場の作付条件以下の通りである。1)福岡県筑後市粘土質水田;稲・麦の二毛作下での麦収穫直前、水稲開花直後、水稲落水期;稲わら堆肥、稲わら鋤込み、麦わら鋤込み、投入なし、2)福岡県大木町粘土質水田:稲・麦の二毛作;稲収穫後;堆肥、わら鋤込み、投入なし、3)新潟県上越市粘土質水田:大豆長期固定転換畑、苗立ち後、4)秋田県大仙市:3年転換畑後粘土質水田:水稲中干し期、収穫後;堆肥、わら、投入なし。 各土壌試料について、保水特性の測定を順次行った結果、同じサイト、試験区の土壌でも、還元状態では高い保水性が見られる一方で、酸化状態では保水量が低い傾向が確認された。ただし、各試料の測定に最低でも4ヶ月程度を要するため、これらの分析結果の整理は完了していない。これらの現場土壌の分析と平行し、排水および吸水中での酸化還元状態の変化による時間依存性のある収縮・膨潤挙動を表す構成式の検討を行った。粘弾性構成則の適用により、土水連成解析において、このような酸化還元状態の時間依存型変化の効果を採り入れる方法を考案した。 また、水田土壌構造の定量化手法の高度化の一つとして、エチルアルコールによる土壌水分の置換と液化二酸化炭素環境下での臨界点乾燥により、土壌の微細構造を維持した状態で乾燥を行うための手法を開発した。これにより様々な水分含量での土壌の微細構造をintactに観察することが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各時期における分析用試料の採取が一巡目と言うこともあり、年度内での分析結果の公表には至らなかったが、タイムスケジュールとしては、おおむね順調に研究が進んでいる。また、実験環境の整備を今年度計画的に進めた結果、次年度以降は、予定している化学・力学性の分析が順調に実施できると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
収縮・膨潤挙動を解析する際の粘弾塑性パラメータに対し、計測可能な土壌の物理性、化学性がどのように影響するかを、採取土壌の分析結果をもとに解析を行うとともに、特に重要な理化学性については、これらを人為的にコントロールした試料を用いて、その影響について明らかにする。また、臨界点乾燥による顕微鏡観察ととポロシメトリによる間隙径分布計測の両者を適宜使い分けて、土壌構造の定量化を行い、力学性の変動との対応を探る。
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