研究概要 |
平成23年度は,(1)水理実験による排水路からの横越流特性の把握,(2)地形適合セルの自動生成手法の開発,(3)内水氾濫による経済的損失に関する調査・資料整理,(4)田んぼダムの社会条件的課題の収集・整理の4項目を中心に研究・活動を行った. (1)水理実験による排水路からの横越流特性の把握 新潟大学農学部の水理実験棟に設置した幅広実験水路にベニア板で作成した水田および排水路の模型を設置して,水路-水田間の越流現象を再現した.平成22年度に開発した内水氾濫解析モデルで再現した結果,横越流現象の特徴が明らかになった.(論文執筆中) (2)地形適合セルの自動生成手法の開発 地形適合セルを半自動的に作成するためのGISを用いたアルゴリズムを構築した.GISの幾何処理機能を組み合わせて流域をモデル化することで,これまで要していた時間を約70%縮減することに成功した.本アルゴリズムの普及を見据え,現在マニュアルを執筆中.(論文投稿中) (3)内水氾濫による経済的損失に関する調査・資料整理 過去11年間分の水害統計データ・延床面積データ等を入手し,内水氾濫による経済損失データの整理を行った.また,これまでに内水氾濫解析が完了している5流域の経済効果を算定した. (4)田んぼダムの社会条件的課題の収集・整理 新潟県主催の「田んぼダムシンポジウム」のパネルディスカッションにおいて,田んぼダム実施流域の上流・下流の取組に対する意識等の意見交換を行い,社会条件的課題の収集および整理を行った.歴史的な上下流間の水争いの構造が引き継がれていおり,実質的な取組負担者である上流域の農家へのインセンティブ付与が取組普及には不可欠であることが明らかになった.
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