研究課題/領域番号 |
23380149
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
関 平和 金沢大学, 環境デザイン学系, 教授 (90115246)
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研究分担者 |
中木原 江利 金沢大学, 環境デザイン学系, 博士研究員 (00547193)
池本 良子 金沢大学, 環境デザイン学系, 教授 (40159223)
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キーワード | 農業工学 / モデル化 / 発酵熱 / 廃棄物処理 / 環境技術 |
研究概要 |
1.竹チップ層の発熱特性と熱源としての的確性確保に関する検討・・・必要な基礎測定として、竹チップ層の熱伝導率、材料の高位発熱量の測定を実施した。成分分析と遺伝子解析は現在進行中である。これらの熱的物性値を使って実験室規模の容器内発熱実験から発熱速度を推算する手法を検討した。その結果、分解有機物の変遷が予測できた。この結果は熱源を所定の期間(3から4か月)、高温(50~60℃)に維持するための条件としての、初期の発熱による高温確保の条件、高温状態の維持、日射量・外気温の変動に対する層内温度の追随について理論的に事前予測することができる。 2.熱回収技術の確立・・・竹チップ層のように二次発酵を主体とした低速の発熱条件下では、熱回収時の放熱を最小限に抑える必要がある。このため、熱交換パイプ等による直接熱交換による熱抽出方式を検討対象とした。また、竹チップ層からの熱抽出計算は、内部発熱を伴う熱伝導モデルを組み立て、温度分布の解析解を導いた。熱抽出過程における竹チップ層内と蓄熱水槽内温度の現地試験結果を解析解による計算値と比較した結果、良好な一致を得、モデルの妥当性が確認された。 3.効果的な蓄熱方法の検討・・・研究協力者の協力を得て能登地方で実施した熱抽出・蓄熱の現地実験において、熱抽出を繰り返して行う場合の発酵槽内温度回復能力があることを実験的に確認した。非定常伝熱モデル計算により、所定の温度に達するまでの所要時間、定常状態での温度を計算するプログラムが実験結果とよく再現することが分かった。この解を基礎として蓄熱槽容量の最適化、熱回収時の水温変動に及ぼす外部条件変動の影響を理論的に精査することができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
竹チップの発酵熱を温度測定によって予測する手法はほぼ確立できたが、その発酵機構の微生物工学的検討が不十分である。発酵熱の抽出過程の伝熱計算手法は、実験結果との比較により、妥当性が確認できた。従って、利用施設をも考慮した伝熱プロセスモデル検討の基礎ができた。
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今後の研究の推進方策 |
抽出・蓄積した発酵熱の利用システムとして、栽培土壌の保温、温室内暖房・保温、陸上養殖水の保温を対象として、伝熱モデルを開発する。また、発酵熱の安定的回収・利用のための温度条件を明確にするため、発酵状態にある竹チップからの通水熱回収実験により、安定発酵を維持できる最適通水温度を実験的・理論的に検討する。
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