研究課題
高品質牛肉を生産するために血中ビタミンA(以下VAと称する)をコントロールする給餌方法において,牛の瞳孔画像からVA濃度を推定する研究を行った。カラー画像と近赤外画像が得られる2CCDカメラとLED照明装置を用いて1ヶ月に1回の割合で画像入力を行うとともに,血中ビタミンAの計測,眼底カメラによる解析を行った。前年度から引き続いて,1ヶ月に1回の割合で約40頭の黒毛和牛の瞳孔画像を撮像してきた。VAコントロール中の瞳孔画像から,瞳孔色とVA濃度の関係を調べた結果,低VA濃度の牛では,カラー画像の赤成分が大きく,彩度が小さくなる傾向を示し,瞳孔色によってVA濃度を推定する可能性が示唆された。5つの変数(カラー画像3原色のうちの赤の割合, 輝度値, LED点灯時の瞳孔収縮度合い, LED点灯直後の瞳孔の円形度, LEDが角膜で鏡面反射する画素の周辺の輝度値)を用いた多変量解析の結果,中程度と重度のVA欠乏牛の区分はほぼ可能であった。用いたLEDはリング状に配列されたものであり,角膜にリング状のハレーション(光が強く反射して濃度値が飽和している部分)が生じる。このハレーション周辺部の反射強度とVA濃度との関係を調べた結果,瞳孔全体の光反射強度により基準化することで比較的高い相関が得られ,VA推定における光反射計測の有用性が示唆された。以上の分析は,1ヶ月に1回ずつ手動で撮像した画像を用いて行ったが,実用化に向けて,牛へのストレスの軽減,撮像の省力化,より高頻度の撮像が可能な自動撮影装置についても,試作実験を行った.この自動撮影装置は,水飲み場に装着し,飲水中に瞳孔画像を入力するものである。ウオータカップへの配管を流れる水流を検知することで飲水中であることを検知して撮像を開始する。牛の識別には,RFIDと色の付いた首輪を試みた結果,いずれも識別は可能であった。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Engineering in Agriculture, Environment and Food
巻: 6 ページ: 177,183
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農業機械学会関西支部報
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