研究課題
最終年度である平成25年度の目標は、「植物根系から根圏土壌への有機酸等の分泌」「土壌から植物根系への物質吸収」の双方について、イメージング解析システムを完成することと成果発表を積極的に行うことである。「植物根系から根圏土壌への有機酸等の分泌」については、前年度、地上部から植物根系への光合成産物の転流過程と、根系から根系土壌へ分泌された有機酸等の分布のイメージングに初めて成功したことを受け、平成25年度は実験データの定量的解析を進めた。その結果、光合成産物の供給量に対する有機酸等の分泌量の割合が、根系部位別では側根先端部において最も高いことを明らかにし、開発目標を達成した。また、この成果について日本土壌肥料学会で発表したところ大きな反響があり、優秀ポスター賞を受賞した。一方、「土壌から植物根系への物質吸収」に対しては、カドミウム超集積植物として知られるヘビノネゴザについて、体内のカドミウム輸送機構が機能するにはカドミウムと栄養元素が同時に吸収されることが必須であることを経根吸収イメージング解析によって証明し、論文発表を行った。物質吸収のイメージング解析結果の論文は合計3報となり、当初目標を十分に達成したと言える。その他、放射性セシウムの移行解析について、開発中のガンマカメラ装置による経根吸収過程の直接イメージングを検討したが、現状ではカメラ装置から得られる画質が十分でないという結論に至ったため、ダイズ地上部の観察に切り替えたところ、放射性セシウムの子実への移行の動態解析に初めて成功した。この成果は国際植物栄養会議(イスタンブール、平成25年8月)で発表した。以上、本課題の応募時に掲げた「生きたままの植物体の根組織と近傍土壌における物質移動を動画像として捉え、作物の根の栄養機能を定量解析するリアルタイムイメージング技術を確立する」という目標を達成した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Plant, Cell and Environment
巻: 37 ページ: 1086-1096
10.1111/pce.12217
http://qubs.jaea.go.jp/annual/index.html
http://www.taka.jaea.go.jp/rab_div/pnr/index_j.html