研究課題/領域番号 |
23380160
|
研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
櫛引 史郎 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産草地研究所家畜生理栄養研究領域, 上席研究員 (30355218)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 子牛 / ラクトフェリン / セロビオース / サイトカイン |
研究概要 |
本課題は、ラクトフェリンの免疫機能賦活作用ならびにセロビオースによる栄養素吸収亢進作用をシンクロさせて、子牛の生体機能を高めることを目的としている。生後3日齢から12週間を試験期間とし、ホルスタイン種子牛を対照区、ラクトフェリン(LF)区、セロビオース(CB)区、および混合(LF+CB)区の4区に配置した。前半6週間は哺乳期、7週目に離乳、その後は固形飼料と乾草を給与した。 供試子牛の成長レベルを示す日増体量(DG)は、対照区が0.68kgであるのに対し、LF区、CB区、およびLF+CB区では0.9kg前後となり、明瞭な発育増進効果が認められた。しかし、LF+CB区がLF区およびCB区よりも高くなる傾向は認められなかった。 血漿インスリン濃度は、対照区に比べてLF区で低くなり、逆にCB区では高くなった。そしてLF+CB区のインスリン濃度は対照区とほぼ同じレベルを示した。LFによるインスリン感受性亢進がインスリン濃度の低下を招き、一方でCBによるVFA産生亢進がインスリン分泌増強をもたらしたものと推察され、LF+CB区ではこれら両面が影響した可能性がある。したがって、LFとCBの作用機序は異なるが、ともに発育向上に寄与していると考えられた。 白血球中のサイトカイン発言動態では、LF区およびLF+CB区のIL-2発現割合が顕著に高まった。これは、LFが細胞性免疫機能を活性化させたものと思われる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
供試子牛の確保ならびに実験は順調に進んでいる。ただ、分娩頭数が若干少なく、暑熱の影響で妊娠が遅れ気味であるため、子牛の確保は予定より少ない。そのため、分析の一部が遅延する可能性がある。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は動物実験を継続するとともに、ラクトフェリンとセロビオースのシンクロ効果を中心に解析を行う。 なお、供試子牛は雌も対象とすることで子牛の確保を増やすとともに、分析の一部を自動化することで遅れを回復する。
|