研究課題
ウシの胎盤形成における栄養膜細胞の機能と分化機構を明らかにするため、栄養膜細胞の分化調節に係わる分子およびそれらの着床界面での役割と機能について検証した。栄養膜細胞の分化に伴う機能変化とその調節機構を細胞外基質上(コラーゲン並びにマトリゲル)培養により検索した。栄養膜細胞の多核化はマトリゲル上で顕著であり培養1週から、3週まで増加すること、その現象は遺伝子発現の解析から、アポトーシスにより影響を受けること無く、Wnt-cateninシグナル系を介していると推測された。また、細胞の多核化に伴いレトロエレメント遺伝子の発現が増加し、栄養膜細胞の多核化を調節する要因であることを明らかにした。同分子はウシの胎盤栄養膜細胞における母子間細胞融合誘導因子として、ウシ胎盤で初めて確認出来た。このレトロエレメント分子をFematrin-1と名付けた。着床は栄養膜細胞の母体側への侵入が必須であり、ウシ栄養膜細胞系(BT)を用いてその動態を検証し、SOLD1遺伝子および分子の発現量の増加に伴い細胞浸潤能が増加した。すなわち、SOLD1は母体側への栄養膜細胞の侵入誘導要因であることを確認した。加えて、着床、受胎の確立には、栄養膜細胞による母体機能の調節が成立の鍵であるため、非接着性細胞培養プレートを用いて受精胚の疑似体として栄養膜細胞集合体(塊)を作成、ウシに移植、母子間相互作用を検索した。移植細胞塊は黄体機能を活性化し、通常21-22日を基準とするウシの発情周期が大幅に延長する(平均約34日)ことを確認した。これらの結果は、栄養膜細胞が着床界面で多様な分子、インターフェロン・タウ、胎盤性ラクトジェン、妊娠関連糖タンパク質、SOLD1、Fematrin-1などを産生すること、これらの分子は子宮内膜および黄体機能を調節すると共に子宮内膜細胞と栄養膜細胞の融合を主導的に調節することを示している。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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