研究課題/領域番号 |
23380165
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
万年 英之 神戸大学, 大学院・農学研究科, 教授 (20263395)
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研究分担者 |
笹崎 晋史 神戸大学, 大学院・農学研究科, 講師 (50457115)
西堀 正英 広島大学, 生物圏科学研究科, 准教授 (80237718)
下桐 猛 鹿児島大学, 農学部, 助教 (40315403)
本多 健 神戸大学, 大学院・農学研究科, 助教 (10432551)
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キーワード | ゲノム / 在来家畜 / 多様性 / SNP |
研究概要 |
アジアの在来家畜は近代品種の系譜や基盤的遺伝特性などを理解するために重要な上、多様な遺伝的背景からその評価と保全は急務である。本課題では、遺伝的多様性解析に恒久的な利用が可能で国際標準となる汎用性の高いSNPシステムをウシ、ブタ、ニワトリにおいて構築し、このSNPシステムを用いることにより、数十力国のアジア在来家畜に対し集団内外の遺伝的多様性解析を行い、地域家畜集団相互間の遺伝的分化と類縁関係、遺伝的構造を明らかにすることを目的とする。 ウシにおける国際的な遺伝的多様性分析に適するSNPの選出: 予定通り、アジア在来牛および近縁野生種の個体に対してウシ50K SNPアレイ分析の情報を得た。遺伝子頻度が0.1~0.5であり、連鎖がない(>10Mbp)SNP候補として約300のSNPを選出した。これらはアジア在来家畜集団において適度な遺伝子頻度を有するSNPを選出した。 ブタにおける国際的な遺伝的多様性分析に適するSNPの選出: 各国の約20の地域から代表的なアジア在来豚およびイノシシに対するブタ60K SNPアレイ分析の情報を得た。その中で遺伝子頻度が0.1~0.5であり、連鎖がないSNPを約300選出した。 ニワトリにおける国際的な遺伝的多様性分析に適するSNPの選出: 各国の約20の地域からニワトリの野生種である赤色野鶏とアジア在来鶏の個体に対するニワトリ50K SNPアレイ分析情報を得た。その中で遺伝子頻度が0.1~0.5であり、連鎖がない(>3Mbp)SNPを約300選出した。 選出したSNPによる国際標準SNPシステムの構築:各家畜から選出したSNPの検出法としてDigiTag2法を適用した。DigiTag2法では、効率よく検出できるSNPを選択する必要があり、不適切SNPを除外したSNPパネルを検討し、ウシ、ブタ、ニワトリともに96 SNPによるシステムの構築を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画どおり、ウシ、ブタ、ニワトリともに約300の候補SNPの選出に成功している。また、この選出SNPに対してDigiTag2法を適用したシステム構築も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
継続してSNPシステムの構築を試み、第一次96 SNPシステムを用いた解析を進める。また、家畜の重要形質に関連するSNPの選出を行い、システムに取り入れることが可能か検討する。これは各家畜種に対して、現在・将来的な遺伝的多様性の理解・保持に有効であると考えられる遺伝子多型を選出する。さらに、構築が完成したウシ、ブタ、ニワトリのSNPシステムを用いて実際のアジア在来牛集団に対するSNP解析を試みる。ウシ、ブタ、ニワトリのそれぞれに対し、近縁野生種を含む約20力国の地域集団から各30個体、合計600個体のDNA試料に対しDigiTag2法によるSNP解析を行う。
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