研究課題
前年度までの研究により、血液凝固第XI因子欠乏症個体では流産等の異常産の発生頻度が高いが、新生仔死の間には顕著な関連はないこと、血液凝固第XI因子欠乏症は黒毛和種の筋肉内点状出血等の枝肉の瑕疵および、枝肉重量等のその他の枝肉形質に顕著な影響を与えないことを明らかにしている。そこで本年度は、継続して異常産の発生頻度、枝肉形質への影響について調べるとともに、これまでに第XI因子欠乏症の母牛が、第XI因子欠乏症を出産した場合に異常産を呈する例が知られていることから、母子ともに第XI因子欠乏症であった場合に、異常産や、新生仔の異常の出現頻度が増加する否かについて調べた。また、第XI因子欠乏症以外の要因が疑われる出血性疾患についても調べた。各県より収集された新生仔異常を呈する子牛とその母親108組、計216個体についてF11の遺伝子型を調べたところ、母子ともその遺伝子頻度に大きな違いは認められなかったが、F11-/-の母牛から生まれた9頭の新生仔異常のうち4頭はF11-/-であり、新生仔異常の子牛では母牛、子牛がともに第XI因子欠乏症発症個体である例が多い傾向が見られ、母子がともに第XI因子欠乏症発症個体である場合には新生仔異常となる可能性は、現時点では否定できないとの結論に至った。また、異常産の発生頻度、枝肉形質への影響についはこれまでの結果と同様であった。一方、これまでの黒毛和種の繁殖牛のスクリーニング調査の結果、F11遺伝子が正常であっても、新生仔に血液凝固時間の顕著な延長がみられる個体が存在することが明らかとなっている。これらの血液凝固異常も、流産、死産、新生仔死等の繁殖異常に関わっている可能性が考えられたため、これらの出血傾向を示す個体の特定とサンプリングを行った。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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日本獣医師会雑誌
巻: 67 ページ: 54-58
Anim. Sci. J.
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10.1111/asj.12045.