狂犬病は致死的な人獣共通感染症で、現在もなお有効な治療法はない。本研究では、これまでの脳免疫に関する自家所見に基づき、鞘内免疫(脳脊髄液へのワクチン投与)によって狂犬病発症動物を治療する事を目指した。その結果、暴露前あるいは暴露後ワクチン接種を受けた個体では、発症後早期に鞘内免疫を行えば、脳炎に起因する症状は残るものの、100%延命可能であることを明らかにした。狂犬病発症例では心筋壊死を併発するが、その発生メカニズムは不明であった。心筋壊死は神経原性心筋症であり、狂犬病発症個体の治療に当たっては心筋症の併発に留意する必要がある事を本研究で明らかにした。
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