研究課題/領域番号 |
23380174
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究分野 |
基礎獣医学・基礎畜産学
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
杉浦 喜久弥 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (30171143)
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研究分担者 |
赤澤 隆 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所), 分子遺伝学部門, 主任研究員 (80359299)
鳩谷 晋吾 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 助教 (40453138)
稲葉 俊夫 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (00137241)
稲葉 宗夫 関西医科大学, 医学部, 准教授 (70115947)
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キーワード | 癌免疫治療 / 腫瘍微小環境 / 遺伝子導入 |
研究概要 |
本研究では、樹状細胞(DC)による癌免疫治療の治療効果をたかめるため、サイトカイン遺伝子の導入によって癌組織内の微小環境を細胞性免疫の活性化に有利なものに改変することを目的とする。今年度においては、その第一段階としてより高い遺伝子導入効率を得るための人工ベクターの調整を試みた。人工ベクターは、まず、遺伝子(cDNA)を陽荷電リン脂質で包んでリポプレックスを作製し、その外側にカルボキシル化ポリグリシドール(PG)を結合させたリン脂質膜小胞(ポリマー改変リポソーム)を複数結合させてPG complex作製する。カルボキシル化PGによって、リポソームとリソゾーム膜との融合を高め、遺伝子を細胞質内へ効率的に導入することができる。①リポプレックスの導入効率は脂質における構成アミノ基数対DNAリン酸エステルの比(N/P)を総合した荷電の強さによって変化し、PG complexの導入効率は脂質中のカルボキシル基対内包する核酸の比(C/N)を総合した荷電の強さによって変化する。Green fluorescent protein(GFP)の cDNAを用いて、最初、in vitroで腫瘍細胞株への導入を検討したところ、N/P=8のリポプレックスで最も高い導入率が得られ、付着性細胞では20%以上、非付着性細胞では5%以上であった。次に、N/P=8の条件でPG complexを作製して検討したところ、特にC/N=5で導入率の向上がみられ、非付着性細胞では10%以上となった。in vitro実験で得られたN/P=8,C/N=5の条件で作製したPG complexを用いて、マウスの皮下に成長させた腫瘍株についてin vivoでのGFP遺伝子の導入を検討したところ、当初導入率は0.5%以下であったが、導入遺伝子量を増加させるなどの検討を行ったところ、導入率が5%に向上した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
in vitroでの遺伝子導入で、当初計画していた試薬の組成では充分に良好な成果を得られなかったため、組成を変更してやり直したため、研究期間の延長が必要であった。
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今後の研究の推進方策 |
GFP遺伝子をマウスインターフェロン(IFN)γ遺伝子に変えてin vitro およびin vivoでの腫瘍細胞への高い導入率を得られる条件を検討し、IFNγ遺伝子導入が免疫細胞の活性化および腫瘍治療効果に及ぼす影響について検討する。 また、遺伝子導入以外にDCによる癌治療効果を向上させる方法も併せて検討する。
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