研究課題/領域番号 |
23380175
|
研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
汾陽 光盛 北里大学, 獣医学部, 教授 (00153007)
|
研究分担者 |
米澤 智洋 北里大学, 獣医学部, 講師 (10433715)
橋本 統 北里大学, 獣医学部, 講師 (90317058)
吉川 泰永 北里大学, 獣医学部, 助教 (00552043)
|
キーワード | マスト細胞 / GnRH / 組織リモデリング / 卵巣 / 乳腺 / 下垂体 / アネキシンA5 |
研究概要 |
生体では、必要に応じて主にアポトーシスによる組織の退縮と新組織の造成が行われる(組織再構築、リモデリング)。生殖周期に伴って作られる黄体は、不要になると退行する。泌乳後の乳腺は、離乳後数日で退縮する。本研究では、申請者の研究結果をもとに、これらのリモデリングの過程に免疫系細胞であるマスト細胞が関与するという全く新しい仮説を検証する。 本計画では、4項目の解明を目指しており、それぞれでの進展を以下にまとめた。 1)GnRHが乳腺上皮細胞にアポトーシスを起こす機序 黄体、乳腺上皮細胞などでGnRHの投与がアポトーシスを誘導することを観察している。しかし、乳腺にGnRH受容体は発現しないという報告が大勢を占めている。そこで本研究では、プライマーの設計と乳腺の生理状態を様々に検討することで、GnRH受容体が特異的に増加する現象を発見した。さらにGnRH受容体の機能をインビトロで細胞増殖への影響を中心に解析中である。 2)卵巣に集積するマスト細胞の機能 卵巣内マスト細胞を精査し、性周期、黄体期にマスト細胞数が著しく変動することを確認した。この変動にあわせて卵巣のGnRH発現量も変動した。更に、内分泌環境の変化によって卵巣に遊走するマスト細胞数の調節される機序を発見した。 3)心臓、胸腺、前立腺における組織リモデリングへのマスト細胞の関与 GnRHを産生しないhpgマウスを用い、組織中マスト細胞の分布を観察し始めた段階である。 4)GnRHのアネキシンA5(anxa5)を介する機能 GnRH受容体下流でanxa5が機能する。anxa5ノックアウトマウスの表現系解析を行い、GnRH機能との関連を追及している。ゴナドトロフでの異常を発見した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
卵巣で、性周期に伴いマスト細胞が侵入してくることを定量的に明らかに出来た。更に、卵巣のGnRH発現量がマスト細胞数と相関があることも見出した。乳腺では直接GnRHが乳腺上皮細胞のアポトーシスを誘導すること、GnRH受容体の発現を発見したことなど収穫を得ている。これらはいずれも本計画の基幹をなす重要な知見であり、それらを得たことで概ね順調に進展していると評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
研究計画に従い、4つの課題解明に取り組んでいく。GnRH受容体下流での細胞内シグナル機序について、アネキシンA5の役割を解明する。特にアポトーシス細胞にアネキシンA5が発現するので、アポトーシス関連印紙との相互作用を解析する。マスト細胞と組織内GnRH量との関連を検討する。また、マスト細胞のGnRH合成に及ぼす影響を解析する。心筋の繊維化などリモデリングを実験的に誘導しマスト細胞、GnRHの関与を調べる。アネキシンA5ノックアウトマウスの表現系について精査する。
|