研究課題/領域番号 |
23380175
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
汾陽 光盛 北里大学, 獣医学部, 教授 (00153007)
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研究分担者 |
米澤 智洋 北里大学, 獣医学部, 講師 (10433715)
吉川 泰永 北里大学, 獣医学部, 講師 (00552043)
橋本 統 北里大学, 獣医学部, 講師 (90317058)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | マスト細胞 / 組織リモデリング / GnRH |
研究概要 |
マスト(肥満)細胞は、造血幹細胞由来の免疫細胞で、ヒスタミンを始めとする生理活性物質を分泌し、炎症や免疫反応で重要な役割を演じていることは周知の事実である。本研究では、マスト細胞の非炎症、非免疫活動としての組織再構築への関与を明らかにしようと試みている。 本研究では、マスト細胞が視床下部ホルモンであるゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)を分泌合成していることを確かめており、その末梢組織での組織リモデリングへの作用を明らかにしようとする点が極めて独創的である。マスト細胞の挙動、GnRHの作用について特に検討を続けている。 マスト細胞が泌乳後の乳腺上皮細胞にGnRHを介してアポトーシスを誘導していることを更に検討した。マスト細胞の化学走性に着目し、ボイデンチャンバーアッセイを導入してGnRH自身がマスト細胞のケモアトラクタントとして機能することを明らかにした。Wsh/Wshマウスへの他動物からのマスト細胞の移植実験は、条件の検討がうまくいかないでいる。一方、乳腺に分布するマスト細胞の免疫染色は、実験法の改良を重ねることでGnRHの免疫染色が可能となった。マスト細胞はヘパリンを多く含むため、非特異反応が強く現れる難しさがある。そこで、組織切片を洗浄する特別な装置を自作して、この問題を解決した。さらにマスト細胞の株化細胞P-815を用いGnRHのmRNA発現も確認した。乳腺株化細胞HC11を導入して、アポトーシス誘導機序の解析を進めている。 乳腺以外の組織でマスト細胞の挙動とGnRHの発現を調べ、まず卵巣で性周期の進行に伴ってマスト細胞が大きく増減することを明らかにし、現在公表の準備中である。心臓の繊維化モデル、前立腺の退縮モデルにおいても、マスト細胞の生理的移動を観察している。計画は順調に進んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
組織リモデリングが生理的に起こる複数の条件下でマスト細胞が増加することを明らかに出来たこと、一部ではGnRH発現の増加まで確認していることが成果としてあげられる。また、GnRHの細胞機能を分子レベルで解析することも行っており、新知見を得ていることも評価できる。卵巣でのマスト細胞の挙動を性周期に伴って詳しく調べ、独特の変動をすることを明らかにした。これら当初計画を上回る発見もあげていることから、概ね順調に進展していると言えると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、マスト細胞の体内移行とその機序、GnRH産生調節とその作用について調べると共に、GnRHの作用機序について明らかにしていく。 卵巣におけるマスト細胞の挙動について、卵巣局所でのGnRHの機能と共に、一つのモデルとして特に詳しく調べる予定でいる。これは、卵巣での性周期に伴う変化についての知見の集積が背景としてあること、排卵周期がまさに非炎症、非免疫的な組織リモデリングの例として優れていると考えられるからである。 最終年度には、乳腺、卵巣での解析に加えて心筋繊維化モデル、前立腺退縮モデルでの研究も進め、マスト細胞のGnRHを介する組織リモデリングにおける働きを明らかにする。
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