研究課題
本研究において、昨年度までに、マレック病(MD)の病態形成・進行には、免疫抑制に関わるニワトリPD-1/ PD-L経路が寄与していること、さらにMDワクチンによる抗腫瘍効果にもこの経路が関与していることを示してきた。そこで本年度は、さらに詳細にMDの病態形成におけるPD-1/ PD-L経路の役割を明らかにするために、ニワトリPD-1のリガンドのひとつであるPD-L2について、その機能やMDウイルス(MDV)感染鶏における発現を解析した。組換えPD-L2発現株化細胞を作出し、ニワトリの末梢血単核球(PBMC)や脾臓細胞とin vitroにおいて共培養したところ、Th1サイトカインであるインターフェロン・ガンマ(IFNg)の発現量が、対照に比べて低下することが示された。このことは、ニワトリにおいても他の動物で報告されているものと同様に、PD-L2が免疫抑制の誘導に関与していることを示している。そこで、次にMDV実験感染鶏あるいはMD野外発症鶏におけるPD-L2の発現をreal-time RT-PCRで解析した。MDV実験感染鶏では、潜伏感染期において脾臓で対照に比べて、PD-L2の発現が上昇していることが示された。さらにMD発症鶏由来の腫瘍材料を用いて、PD-L2の発現を解析した結果、PD-L2は、腫瘍病変中の腫瘍細胞において強く発現していることが示された。以上の結果より、ニワトリPD-L2は、PD-1/ PD-L経路を介して免疫抑制を引き起こすことが示唆され、MDにおいても、腫瘍細胞に発現したPD-L2が腫瘍の免疫回避に関与しており、MDの病態進行に重要な役割を果たすことが示唆された。今後、もう一方のリガンドであるPD-L1の機能解析や、PD-L2の発現上昇に係る分子機構の解明が必要であると考えられる。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Arch. Virol
巻: (印刷中)
10.1007/s00705-014-2021-7
Infect. Genet. Evol
巻: 16 ページ: 137-143
10.1016/j.meegid.2012.12.032