研究課題
本研究は、口蹄疫との類症鑑別が困難なパラポックスウイルス感染症について、新たな迅速診断法を開発することを目的とする。パラポックスウイルス感染症には、牛の丘疹性口炎、偽牛痘、羊や山羊、アカシカ、ニホンカモシカの伝染性膿疱性皮膚炎、ヒトの搾乳者結節、などが含まれ、5種類の原因ウイルスが知られている。いずれもヒトに感染し皮膚に発痘するため、人獣共通感染症の原因となる。本年度は、前年度に新たに開発したパラポックスウイルス属共通LAMP法と、携帯型コードレス恒温維持装置が、実際に野外での診断に利用できるか検討した。農場内で電気を使わずに、口腔スワブ材料からDNAを抽出する方法として、PURE法を検討した。牛の唾液に牛丘疹性口炎ウイルスを添加、希釈し、DNAを抽出、LAMP法により増幅したところ、唾液(スワブ)1mL中に約300TCID50のウイルス量が存在すれば検出できる感度だった。新しく開発したLAMPプライマーと携帯型コードレス恒温維持装置による遺伝子増幅により、パラポックスウイルス属に属す5種類のウイルスそれぞれの標準株、牛由来野外分離株7株、羊由来野外分離株6株、牛病変部DNA10検体、すべてを1時間以内に検出することができ、その有用性が証明出来た。また、野外での目視判定を容易にするため、羊由来株6株を用いて、目視判定用の検出試薬3種類を比較した。いずれの検出試薬も同程度に判定が容易だったことから、LAMP法を実験室ですでに利用している場合、常温で保存したい場合、安価に検査した場合、それぞれのニーズごとに使い分けられることを明らかにした。これらの成果は、オンサイトでのパラポックスウイルス感染症の診断に大きく貢献するものと思われる。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
岐阜大学応用生物科学部共同獣医学科食品環境衛生学研究室ホームページhttp://www1.gifu-u.ac.jp/~naishigu/index.html
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (9件) 図書 (1件)
Analytical Sciences
巻: 30 ページ: 1169-1172
http://dx.doi.org/10.2116/analsci.30.1169
Journal of Veterinary Medical Science
巻: 76 ページ: 985-991
http://dx.doi.org/10.1292/jvms.14-0007
Molecular Phylogenetics and Evolution
巻: 80 ページ: 105-112
10.1016/j.ympev.2014.08.004
Protein Science
巻: 23 ページ: 1050-1059
10.1002/pro.2491
Journal of Poultry Science
巻: 51 ページ: 104-107
10.2141/jpsa.0130028