研究課題
犬のリンパ腫は発生頻度が高く、抗がん剤に対する感受性が良好であることから、化学療法を行う機会が多い。しかし、現在標準的に用いられている多剤併用プロトコールで治療した場合には、生存期間約1年という治療成績の壁が存在する。これまで、化学療法の有効性に関しては奏功率や無進行生存期間(PFS)といった臨床的パラメータのみによって評価されてきた。我々は、本研究を通して高感度・高精度に腫瘍細胞数を定量する微小残存病変(Minimal residual disease, MRD)モニタリングシステムを開発することができた。本年度においては、このMRDモニタリングシステムを利用し、治療法発展のために化学療法の有効性評価をさらに進めた。犬のリンパ腫症例のなかで、高悪性度でありかつ化学療法剤に対して感受性の高いびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)症例を選択し、多剤併用化学療法(University of Wisconsin 25-week protocol, UW-25)を実施した。その結果、治療終了時よりも早期(11週後)におけるMRDレベルを測定することによって、予後の良い群と悪い群を層別化することが可能となった。11週後のMRDレベルが低く、完全寛解に達した症例において、臨床的に再発が認められる前のMRD上昇時点から抗がん剤による早期介入療法を実施したところ、MRDレベルが再び低下した。これにより、臨床的再発を回避することが可能であることが示され、これまでの症例で最長のPFSは1,453日(約4年)に及んでいる。一方、腸管T細胞リンパ腫(ITL)の症例に関しては、より高い精度のクローン性解析が必要であったため、キャピラリー電気泳動法を用いるGeneScanning法を組み合わせてMRD解析を実施した。本研究により、犬のITLに関しては、PFSの短い大細胞型とPFSの長い小細胞型の2つの病型が存在することが示された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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