研究課題
現在のイヌ悪性腫瘍における治療は手術、放射線治療及び化学療法が主流であるが、このような治療法では、再発も多い。このような現状の中で、免疫療法は新たな治療法の選択肢となりうる可能性を秘めている。我々はこれまでマウスモデルで自然免疫と獲得免疫を同時に誘導しうる新しい癌ワクチンシステムである「アジュバントベクター細胞」の知見を積み重ねてきた。このワクチンはマウスモデルにおいては遺伝子導入の容易な線維芽細胞をベクター細胞として用い、腫瘍抗原由来のmRNAとNKT細胞リガンドを同時に線維芽細胞内で発現させた細胞ワクチンである。この抗腫瘍免疫機構は、活性化したNKT細胞により腫瘍抗原を発現しているベクター細胞がアポトーシスに陥ることにより、速やかに宿主の樹状細胞が取り込み、効率よく抗腫瘍抗原特異的CTLを誘導できる点にある。つまり、腫瘍抗原が判明している場合、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)に関係なく自然免疫と獲得免疫の両者を誘導しうることになり、MHCが明らかになっていないイヌを対象としては、有効な治療法になりうると考えた。本研究ではこのシステムをイヌに応用することを目的に、対象疾患としてイヌメラノーマを想定し、tyrosinase抗原を発現したイヌ型アジュバントベクター細胞を作製し、免疫応答等の効果が得られるか検証した。実際、イヌ型アジュバントベクター細胞をイヌに免疫したところ、免疫応答を誘導しうることを確認できた。本研究成果はイヌにおける新たな免疫療法の臨床応用に向けて、基礎的な知見となり、今後の更なる発展が期待できるものと考える。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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