研究課題
本研究は、次の3つの調査・分析を統合し、北海道およびアジアのサトヤマモデルを提示した。①地域のサトヤマモデルとして、「環境未来都市」に認定されている北海道下川町と取り上げ、その取り組みの歴史からサトヤマ的資源利用の展開を示した。②北海道におけるサトヤマモデルとして、食料、バイオマスエネルギー、CO2という観点から都市と農山村の連携関係を考察し、持続的な補完モデルを提示した。③アジアのサトヤマモデルとして、韓国とマレーシアにおける自然資源循環利用モデルを提示した。分析結果から、サトヤマモデルとして、次の結論を得た。農村の第一産業は,食料とエネルギーのような生存基盤を都市へ供給する役目を全面的に担うこととなる。そのためには,農村の第一次産業生産構造自体を強靭化する必要があり、耕畜林水産業それぞれのモザイク的な連携構造による物質循環システムが求められる。その上で,次のような都市と農村の補完関係が必要となる。①有機物・エネルギー補完:農村から都市への食料・エネルギー供給に対し,都市は第一次産業の生産基盤を支える有機肥料成分(窒素、リンなど)を農山漁村へ還元する役割を持たなければ、持続的な自立構造は成り立たない。つまり,都市・農村連携の1要素が「有機物・エネルギー補完」となる。②サービス補完:都市の生産による環境負荷物質は、農村地域の森林などの生態系により浄化されている。都市は生産活動を続けるため,農村地域のCO2吸収や水質浄化など生態系サービスに依存しなければならず、その生態系サービスを保全する役割がある。これには、生態系サービスを保全するための対価として、都市から農村への人材派遣やクレジットなどが考えられる。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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政策科学
巻: Vol.21, No.3 ページ: 1-22
環境情報科学学術研究論文集
巻: No.27 ページ: 115-120